1日、なでしこジャパン(女子日本代表)は中国で開幕したロンドン五輪女子サッカーアジア最終予選の初戦でタイ代表と対戦した。日本は前半からボールを支配するものの、人数をかけて守る相手にゴールを奪えない。両チームスコアレスで迎えた後半16分、川澄奈穂美(INAC神戸)がようやく先制点をあげる。その後、30分に田中明日菜(INAC神戸)が2点目をあげると、ロスタイムには相手のオウンゴールもあってリードを広げ、大事な初戦で白星スタートを切った。

 3得点も前半は苦戦(山東)
日本代表 3−0 タイ代表
【得点】
[日] 川澄奈穂美(61分)、田中明日菜(75分)、オウンゴール(90分)
 結果だけ見れば3−0の快勝だが、不安を残す試合だったといえるだろう。
 日本はタイ戦を皮切りに、11日間で計5試合を消化しなければならない。そのため、佐々木則夫監督は大会前、格下となる相手には主力を温存する考えを明らかにしていた。このタイ戦で日本はドイツW杯で中心選手だった澤穂希(INAC神戸)や宮間あや(岡山湯郷)などをスタメンから外した。しかし、ゲームを組み立てる澤と宮間が抜けた影響は大きかった。

 日本は前半開始からボールを支配し、機を見て永里優季(ポツダム)や川澄がドリブルで突破しようする。しかし人数をかけたタイの守備網に引っかかり、42分の鮫島彩(ボストン)のロングシュートも枠を大きく外した。前半はゴールに直結するボールが少なく、W杯で見せた小気味いいパスワークからの波状攻撃が見られなかった。

 苦戦を強いられた佐々木監督は、後半開始から温存していた宮間を投入し、守備を固める相手をこじ開けにかかる。宮間はダイレクトで前方にパスを出すなど、前半に見られなかったシンプルな攻撃をチームに促す。そして迎えた16分、上尾野辺めぐみ(新潟)の浮き球の縦パスに抜け出した川澄が待望の先制点をあげた。

 その後、安藤梢(デュイスブルク)、大野忍(INAC神戸)と本来の主力メンバーを投入した日本は、30分に宮間の右CKから田中が押し込んで追加点を奪う。さらにロスタイム、大野がPA内右で仕掛けて折り返したボールが、相手選手に当たり、ダメ押しのオウンゴールとなった。

「しっかり勝ち点3を取って、3点差にしたことはよかった」と語った佐々木監督だが、オフェンスの中心選手が抜けていた前半の内容は、主力と控えの実力差が大きいことを表していた。次戦は3日にドイツW杯前の壮行試合で引き分けている韓国と対戦する。