5日、なでしこジャパン(女子日本代表)は中国で行われているロンドン五輪女子サッカーアジア最終予選でオーストラリア代表と対戦した。日本は前半からボールを支配し、何度も決定機を迎えるが、フィニッシュの精度を欠いてゴールを奪えない。後半も主導権を握った日本は17分、永里優季(ポツダム)のポストプレーから抜け出した川澄奈穂美(INAC神戸)が冷静に左足でゴールに流し込み、ようやく先制する。守ってはオーストラリアのパワープレーに落ち着いて対応し、虎の子の1点を守りきって、3連勝を収めた。

 3連勝、五輪へあと1勝(山東)
日本代表 1−0 オーストラリア代表
【得点】
[日] 川澄奈穂美(62分)
 なでしこジャパンが、難敵を下し、ロンドン五輪出場へ王手をかけた。
 3日の韓国戦から中1日での大事な一戦。日本はベストメンバーで臨んだ韓国戦とほぼ同じスタメンでキックオフを迎えた。選手たちのコンディションが心配されたが、日本は前半からボールを支配し、自分たちのペースで試合を進めていく。

 前半9分、センターサークル付近から宮間あや(岡山湯郷)がPA内右に抜け出した永里優に縦パスを通す。永里優がGKとの1対1となり、放ったシュートは、惜しくも弾かれ、こぼれ球は相手DFにクリアされた。

 永里優は26分にも決定的な場面を迎える。PA手前でボールを持った澤穂希(INAC神戸)がPA内右にいた近賀ゆかり(INAC神戸)に浮き球のパスを送る。近賀はボールを左横へ流し、これに永里が左足で合わせた。しかし、ボールはゴール左ポストに当たって、得点には至らない。

 さらに30分には、川澄がチャンスを逃してしまう。近賀のスルーパスに滑り込みながら右足で合わせるも、これまた相手GKに防がれた。

 決定的な場面を決めきれない攻撃陣に対して、守備陣は豪州のロングボール主体の攻めを落ち着いて処理した。「(豪州が)蹴ってくることはわかっていた。DF同士で話し合って、裏へ抜けさせないように気をつけた。いい準備をしていたから対応できて良かった」とCBの熊谷紗希(フランクフルト)が振り返ったように、体格で勝る相手にチャンスをつくらせない。
  
 早く先取点の欲しい日本に、待望の先制点が生まれたのは後半17分。決めたのは3試合連続スタメンの川澄だ。PA手前右サイドでボールをキープした永里優からのパスをコントロールしてゴールへ迫る。飛び出してきたGKの動きを落ち着いて見極め、今度はしっかりと左足でゴールへ流し込んだ。前半に決定機を生かせなかった川澄と永里優。その2人が汚名返上とばかりに絶妙のコンビネーションをみせ、豪州守備陣を崩した。

 リードを奪った日本は、無理に攻め急ぐことはしなかった。佐々木則夫監督は予選初出場となる丸山桂里奈(ジェフ千葉)と安藤梢(デュイスブルク)を前線に投入。ひとたびボールを奪えば、すかさず前方スペースへボールを送り、丸山と安藤を走らせて豪州の時間と体力を奪っていった。そして前半同様、豪州のロングボールに対しては最終ラインが確実にはね返し、反撃の芽を摘んだ。

 日本は追加点こそ決められなかったものの、相手にペースを渡すことなく、90分間を終え、見事、3連勝を収めた。日本の勝ち点は9となり、次の北朝鮮戦に勝利すればロンドン五輪の出場が決定する。