8日、なでしこジャパン(女子日本代表)は中国で行われているロンドン五輪女子サッカーアジア最終予選で北朝鮮代表と対戦した。日本は前半から、運動量豊富な北朝鮮にボールを支配され、ペースをつかめない時間が続く。ようやく後半37分、永里優季(ポツダム)のシュートが相手のオウンゴールを誘発し、先制に成功した。しかし、勝利目前のロスタイムに同点ゴールを決められ、自力での五輪出場権獲得はならなかった。それでも、他の試合の結果により、日本の2位以内が確定し、3大会連続の五輪出場が決まった。

 ロスタイムに痛い失点(山東)
日本代表 1−1 北朝鮮代表
【得点】
[日] オウンゴール(82分)
[北] キム・チョラン(90分+2)
 終始、主導権を握った豪州戦と同じスタメンで臨みながら、日本はまったくと言っていいほどペースを掴むことができなかった。

 立ち上がりは悪くなかった。開始早々の2分、宮間あや(岡山湯郷)がシュートを放つ。これでリズムをつかむと思われたが、北朝鮮の素早いチェックにあい、次第にパスミスや苦し紛れのロングボールが目立つようになる。

 また、豊富な運動量を生かした相手のパス回しにも苦戦。決定的な場面をつくらせはしなかったものの、クリアした後のセカンドボールをことごとく拾われ、攻撃のかたちをつくれないまま試合を折り返した。

 後半に入っても主導権を握れずにいた日本だが、思いがけないかたちで先制点を奪う。後半37分、右サイドバックの近賀ゆかり(INAC神戸)がゴール前へアーリークロスを入れ、これにうまく反応して抜け出した永里優が滑り込みながら右足で合わせた。一度はGKに弾かれたボールは戻ってきたDFに当たり、ゴールの中に吸い込まれた。前半から苦しみ続けた中での幸運ともいえるゴールで、ロンドン行きが大きく近づく。

 しかし、後半ロスタイム、右サイドからの相手のクロスを、PA内で近賀がクリアミス。これを拾われ、最後はキム・チョランに右足で右上に決められた。勝利目前で痛恨の同点ゴールを許し、試合は1−1の引き分けに終わった。

「よくあること。負けたわけではないので次に向かって頑張っていく」
 試合後に宮間は前を向き、気持ちを切り換えた。
 その3時間半後、中国が豪州に敗れ、日本は予選通過条件である2位以内が確定、五輪出場が決まった。なでしこジャパンは11日の最終戦で地元の中国と対戦し、ロンドンへ向けた新たな戦いをスタートする。