14日、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦が行われ、セレッソ大阪はホームで全北現代(韓国)と対戦した。試合は全北が決めてC大阪が追いつく展開。2−3と全北に勝ち越されたC大阪は後半19分、キム・ボギョンのゴールで三たび同点に追いつく。そして36分、清武弘嗣がこの日2点目となる逆転ゴールを決め、激しい打ち合いを制した。

 清武、2ゴールで勝利に貢献(長居)
セレッソ大阪 4−3 全北現代
【得点】
[C大阪] 播戸竜二(29分)、清武弘嗣(56分、81分)、キム・ボギョン(64分)
[全] イ・ドングク(6分、45分+2)、チョ・ソンファン(58分)
 3度の落胆と4度の歓喜が長居スタジアムを包むなか、A代表とU―22代表に選ばれている清武がひときわ輝きを放った試合だった。

 両クラブは予選リーグでも同組で、今大会3度目の顔合わせ。過去2戦は1勝1敗だが、C大阪は当時のメンバーから乾貴士(ボーフム)とホドリゴ・ピンパォン(大宮)がそれぞれ移籍している。さらに中盤の要であるマルチネスもケガで欠場し、チーム力の低下が懸念されていた。

 C大阪は前半序盤、全北の縦に速く、手数をかけない攻撃に苦しむ。先制点を奪われたのは前半6分。ゴール前でのポストプレーから、イ・ドングクに押し込まれた。それでもC大阪は相手のシンプルな攻めに対し、清武を中心とするパスワークから全北守備陣を崩しにかかる。

 そして29分、清武が前方のスペースを狙ったキム・ボギョンに右サイドから絶妙のパスを供給する。受けたキム・ボギョンがゴール前にクロスを入れると、播戸竜二が左足で流し込んだ。10日のリーグ戦ではハットトリックも決めた好調なベテランの同点弾。この得点で勢いに乗ったセレッソは、リズムよく何度もチャンスをつくりだすものの、フィニッシュの精度が低く、勝ち越し点を奪えない。

 すると1−1で折り返すと思われた前半ロスタイム、相手GKからのFKをPA前でつながれ、最後は再びイ・ドングクに右足で決められた。C大阪には最悪ともいえるかたちで前半を終える。

 ホームで負けられないC大阪は後半に入ると反撃を開始する。まず11分、右CKのチャンスから、酒本憲幸のボールに清武がドンピシャリのタイミングでゴールに叩き込んだ。このゴールでC大阪サポーターの応援も更に熱を帯びてくる。

 ただ、その熱狂は長く続かなかった。13分、今度は逆に全北の右CKからチョ・ソンファンに頭でゴールにねじ込まれた。追いついた直後の失点に、長居スタジアムは一気に静まり返る。それでも「落ち着けば点を取れると思っていた」と播戸が試合後に語ったように、ピッチの中の選手たちは冷静にチャンスをうかがっていた。

 18分、PA手前で得たFKでキム・ボギョンが直接ゴールを狙う。このキックが壁に入った相手選手の腕に当たり、主審はハンドでPKの判定を下した。このPKをキム・ボギョンがしっかりと決め、3−3。またまたC大阪が同点に追いつく。その後は30分過ぎに立て続けでピンチを招くものの、GKキム・ジンヒョンを中心に守備陣が体を張り、4度目の勝ち越しは許さない。

 そして36分、この試合、4度目にして最大の歓声が長居スタジアムに轟く。PA手前のFKで酒本が蹴ったボールは相手の壁に当たるが、こぼれたボールを清武が諦めずに追い、相手DFの前に体を入れて右CKに持ち込む。キッカーは再び酒本。今度はグラウンダーのボールをゴール前に入れる。その先にいたのは清武だ。完全にフリーでボールを受けると、右足でゴールに流し込んだ。この1点が試合を決めた。

 この大逆転劇の立役者は清武だろう。ゴールシーン以外でも、積極的にボールに絡み、しっかりとチャンスメイクの役割も果たしていた。ザックジャパンで貴重なカードになりつつある若武者は、ACLでもキラリと光を放っている。

「悔いが残るが、勝ててよかった。第2戦もしっかりと点を取って勝ちたい」
 ヒーローはうかれることなく前を向いた。C大阪は27日にアウェーでの第2戦に臨み、引き分け以上の成績を収めれば準決勝進出が決まる。