29日、日本サッカー協会はキリンチャレンジカップのベトナム戦(10月7日、神戸)とブラジルW杯アジア3次予選のタジキスタン戦(同11日、長居)に臨む日本代表メンバー23名を発表した。海外組からは香川真司(ドルトムント)、吉田麻也(VVVフェンロ)など10名が招集され、右肩脱臼から戦列に復帰している長友佑都(インテル)は6月のキリンカップ以来の代表に復帰した。一方、前日に右太ももの肉離れの診断を受けた内田篤人(シャルケ)は外れた。国内組では、藤本淳吾(名古屋)が1月のアジア杯以来の代表に選ばれている。
 今月の予選2連戦(北朝鮮戦、ウズベキスタン戦)を勝ち点4で終えた日本代表のザッケローニ監督は、10月の2試合にチームの“確認”と“成長”をテーマに掲げた。

 現在の日本代表は主力にケガ人が相次いでいる。北朝鮮戦とウズベキスタン戦では故障で離脱中の本田圭佑(CSKA)の不在が戦いに影響を及ぼした。そして今回は内田もメンバーから外れている。
「同じような選手は2人といない。ベトナム戦で(2人が欠場することの)影響をチェックして、それをタジキスタン戦に活かす」
 ザッケローニ監督はそう格下相手の親善試合を位置づけた。

 ベトナムはFIFAランク130位。過去の対戦成績は4勝1敗と大きくリードしている。W杯2次予選で敗退している国だけに、「強化試合の相手としては不足では」との声もある。ザッケローニ監督は、そんな意見に対して語気を強めて次のように語った。
「私はいつも目標設定をして、それをクリアしながらチームを作り上げていく。ベトナムとの試合は自分たちのことに目を向ける良い機会。代表はクラブとは違い、1、2カ月に1度程度しか一緒に過ごせない。なので、親善試合は自分たちのバランスを見つけ出すのに大切なもの。私はベトナム戦の前にも選手たちに気持ちを入れて戦うこと、過小評価をせずに戦ってくれと言うつもりだ」

 2次予選敗退とはいえ、ベトナムは中東の雄・カタールに対し、2戦合計で敗れたものの、ホームでは勝利している。指揮官も「ベトナムは近年成長している。選手たちにはスピードと持久力を持っていて、ホームとアウェーで戦い方を変えてくるという印象がある。人数をかけた攻撃、守備は持久力を活かして組織で守ってくる」と全く油断はしていない。

 そして迎え撃つタジキスタンとは過去の対戦が1度もない。まさに未知の相手だ。シリアの失格により、急遽、3次予選出場が決まっただけに、ザッケローニ監督も「今はウズベキスタン戦、北朝鮮戦の2試合を分析している」とまだ相手の力を測りかねている。ここまでの予選2試合ではウズベキスタン、北朝鮮に連敗しているが、2試合とも0−1の接戦。こちらも楽な相手とは言い難いだろう。

 ザッケローニ監督は就任以降、13試合連続で不敗が続いている。これは日本代表監督としては史上最長だ。しかし、指揮官はそんな記録には関心を示さない。
「我々の目標は記録を伸ばすのではなく、成長していくこと」
 あくまでも目指すのは10月の2試合での結果と内容。そして世界で戦えるチームづくりだ。最初の2試合でW杯予選の厳しさを痛感したザックジャパンが、親善試合で万全を期し、タジキスタンとの本番に臨む。

<日本代表メンバー23人>

GK
川島永嗣(リールセSK)
西川周作(サンフレッチェ広島)
権田修一(FC東京)
DF
駒野友一(ジュビロ磐田)
今野泰幸(FC東京)
栗原勇蔵(横浜F・マリノス)
伊野波雅彦(ハイデュク・スプリト)
長友佑都(インテル・ミラノ)
槙野智章(1.FCケルン)
吉田麻也(VVVフェンロ)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
阿部勇樹(レスター・シティ)
長谷部誠(ヴォルフスブルク)
増田誓志(鹿島アントラーズ)
細貝萌(FCアウグスブルク)
FW
藤本淳吾(名古屋グランパス)
李忠成(サンフレッチェ広島)
岡崎慎司(シュツットガルト)
ハーフナー・マイク(ヴァンフォーレ甲府)
香川真司(ドルトムント)
清武弘嗣(セレッソ大阪)
原口元気(浦和レッズ)