FIFAクラブW杯はいよいよ準決勝に突入する。モンテレイとの激闘を制して勝ちあがった柏レイソル(開催国枠)は14日(豊田スタジアム)、南米王者・サントスと激突する。15日(日産スタジアム)にはもう1カードのアル・サッド(アジア)対FCバルセロナ(欧州)が行われる。今回は準決勝から登場するサントスとバルセロナを紹介する。
 サントス
 王国が誇る名門、光る若き才能

 かつて“王様・ペレ”を擁したブラジルの名門だ。1962年、63年のインターコンチネンタル杯(現FIFAクラブW杯)を連覇。昨季は、その63年以来となるリベルタ・ドーレス杯を制し、大会出場を決めた。現代表を含めたセレソン経験者は9名にのぼり、バルセロナに次ぐ層の厚さを誇る。中でもリベルタ杯優勝の立役者となったのは生え抜きのガンソ(22歳)とネイマール(19歳)だ。2人とも14年ブラジルW杯での活躍が期待される逸材で、既にブラジル代表に選出されている。

 名門の背番号10を背負うガンソの最大の武器は、左足からの正確無比なパスだ。わずかなコースも見逃さず、ゴールに結びつくパスを供給する。また、ミドルシュートも得意としており、サントスの攻撃を司るゲームメーカーだ。

 次にネイマールだが、プレースタイルはまさに“ブラジルサッカー”を体現していると言ってよい。遊び心に溢れたトリッキーなドリブルに、ここ一番で結果を出す勝負強さ。ペニャロール(ウルグアイ)とのリベルタ杯決勝第2戦では、ゴールを決めて勝利に貢献。クラブに48年ぶりの南米タイトルをもたらした。ガンソのパスからネイマールのゴールが生まれることが多く、対戦相手ははいかに2人のホットラインを描かせないかがポイントになるだろう。

 リベルタ杯決勝トーナメント8試合のうち5試合を無失点に抑えるなど、守備力も高い。来年はクラブ創立100周年を迎えるだけに、是が非でも世界一の称号を手にしたいところだ。

 サントスの攻撃力を警戒して守備的になれば、それこそ格好の餌食となる。対戦する柏はいつも通りの攻撃的なサッカーで戦うことが、最良の対策といえるだろう。また、サントスからオファーを受け、「サントスとやることを求めてきた」と語る酒井宏樹とネイマールのマッチアップにも注目したい。

 FCバルセロナ
 世界最高の“スペクタクル・サッカー”

 現在、世界最高のパスサッカーを展開するドリームチームだ。クラブにはアンドレス・イニエスタやダビド・ビジャなど、南アフリカW杯を制したスペイン代表の選手が多数在籍している。ただ、その中において一際まばゆい光を放つ選手が、アルゼンチン代表のリオネル・メッシだ。

 バルサの背番号10を背負い、FIFAバロンドール(旧FIFA世界最優秀選手賞)、UEFA欧州年間最優秀選手賞など、24歳にして数々の個人賞を獲得。“史上最高”との呼び声高いチームの中心を担っている。

 最大の武器はドリブルだ。繊細なボールタッチで立ちはだかるDFをかわし、そこから圧倒的なスピードで抜き去る。そして、そこから自由自在にシュート、パスを選択し、ゴールを陥れる。今季のリーグ戦でも16試合で17得点をあげ、得点ランクトップタイをキープ。もはや、ボールを持たせないことでしか彼を防ぐ術はないかもしれない。

 リーグ戦では10日に行われたレアル・マドリードとの“クラシコ”を制し、首位に立った。今季、16試合ですでに50得点という圧倒的な攻撃力を見せ、5点以上の大量得点を奪った試合は実に5試合にのぼる。また、ジェラール・ピケを中心とした守備陣もわずか8失点と抜群の安定感を誇っている。今季加入したスペイン代表セスク・ファブレガスも問題なくフィットしており、チームの完成度はさらに高まった。

 注目のメンバーリストにはメッシ、イニエスタ、シャビ・エルナンデス、ピケなど、主力が順当に入った。2年ぶりの世界一への不安要素は、長距離移動と中4日という過密日程からくるコンディション不良。それさえクリアすれば、世界最高峰の選手たちが奏でる“スペクタクル・サッカー”に対抗できるクラブはいないだろう。

 準決勝、5位決定戦スケジュール

○12月14日(水)
【5位決定戦】モンテレイ × エスペランス(豊田ス、16:30〜)
【準決勝】柏レイソル × サントス(豊田ス、19:30〜)

○12月15日(木)
【準決勝】アル・サッド × FCバルセロナ(日産ス、19:30〜)