15日、クラブW杯2011の準決勝、アル・サッド(アジア代表)対FCバルセロナ(欧州代表)が神奈川・日産スタジアムで行われた。バルセロナは前半25分、MFアドリアーノのゴールで先制。43分にも再びアドリアーノがネットを揺らしてリードを2点に広げた。バルセロナはその後も2点を追加し、4−0で試合終了。南米王者のサントスが待つ決勝(18日【日】、日産スタジアム)へコマを進めた。

  メッシ、オーバーヘッド披露も不発(日産ス)
アル・サッド 0−4 FCバルセロナ
【得点】
[バ] アドリアーノ(25分、43分)、セイドゥ・ケイタ(64分)、マクスウェル(81分)
 スター軍団に対して無数のフラッシュが光る中、バルサが選手層の厚さを見せつけた。ゴールを奪ったのは、FWリオネル・メッシやMFアンドレス・イニエスタなどの“スター”ではなく、MFアドリアーノ、MFセイドゥ・ケイタ、DFマクスウェルといったいわゆる“バイ・プレーヤー”だった。

 試合開始ともにバルセロナはボールをキープし、相手陣内で攻撃を組み立てる。対するアル・サッドはDFラインに5人が並ぶ超守備的な布陣。バルサ陣内にはGKのみが残り、フィールドプレーヤー全員が相手陣内でプレーするという異常な状態が続いた。バルセロナは左右へボールを散らし、守りを固めた相手をゆさぶりにかかる。

 迎えた25分、相手のミスに乗じてバルセロナが先制点を奪う。FWペドロが左サイドでパスを受け、右足でクロスを入れる。これをアル・サッドのDFがクリアせず、足でGKへのパスを選択。慌てたGKがようやく蹴りだそうとしたところを、詰めていた右MFアドリアーノが体で押し込んだ。

 何ともあっけない形で1点を奪ったバルセロナだが、35分、アクシデントが起こる。FWダビド・ビジャがイニエスタからのロングパスに抜け出し、相手DFと競り合いながらPA内に侵入。最後はもつれあいながらシュートを放つ。この時の接触で左足を痛めたビジャは、そのままピッチを去った。

 しかし、意図せぬストライカーの離脱にも動じないのがバルサの強さだ。より慎重にボールを支配し、43分、追加点を生み出す。右サイドでボールを持ったアドリアーノが、中央のMFチアゴ・アルカンタラにパス。すかさずゴール前に走り込み、PA内でリターンパスをトラップして左足で蹴りこんだ。バルセロナらしいパスから得点。リードを2点に広げ、前半を折り返す。
後半に入っても、ボールをキープするのはバルサの選手たちだ。後半19分、メッシのPA内右へのパスに反応したセイドゥ・ケイタが、冷静に左足でゴール左下へ流し込む。
 さらに2分後、メッシが右サイドで裏へのパスに反応し、相手DFとPA内で体を入れ替える。飛び出してきたGKと交錯しつつ、真上にこぼれたボールをオーバーヘッドキック。うまくヒットせず、枠を外れたが、スタジアムに訪れた66,298人の大観衆を大いに沸かした。

 攻撃陣が4得点と結果を出す中、守備陣が仕事をしたのは前半にアル・サッドのFWカデル・ケイタにロングボールから突破を許した場面のみと言っていい。72%という驚異的なボール支配率で、相手のシュート数は90分でわずか2本。後半は1本も打たせなかった。

 長距離移動、リーグ戦から中4日ということもあり、メッシやイニエスタなど、一部選手のコンディションは万全ではなかった。それでも、ボールを支配すれば相手に攻められることはない。今日のバルセロナはポゼッションサッカーの神髄を見せた。

 試合後、負傷離脱したビジャの左足脛骨骨折が発表された。エースFWの離脱は手痛いが、脇役たちの活躍を見る限り、選手層に不安は見当たらない。このバルセロナと激突するサントスは、準決勝で選手の技術が高いことを証明したものの、チーム力ではやはり分が悪い。決勝でも、バルセロナの優位は変わらないと言えそうだ。