今年1月に開設したスポーツポータルサイト「Sportsプレミア」では新たなスポーツ記事を連日、配信中です。このサイトではJBpress(日本ビジネスプレス)、講談社、スポーツコミュニケーションズの共同運営により、3社がそれぞれ配信している独自の記事を合わせて読むことが可能になっています。このたび講談社から前中日ヘッドコーチ・森繁和さんの著書『参謀』と、二宮清純の最新刊『天才たちのプロ野球』が発売されたことを記念し、両者によるスペシャル対談が実現しました。「今だから話せるオレ竜の真実」と題し、8年間で4度のリーグ優勝を果たした落合ドラゴンズの強さの秘密について、深く語り合っています。
(写真:引退後は西武、日本ハム、横浜、中日で投手コーチなどを歴任し、プロ入り後、初めてユニホームを脱いで野球に携わる森さん)
 当サイトでは特別に対談の一部を紹介します。

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二宮: 森さんの『参謀』、興味深く読ませていただきました。一番驚いたのは、岩瀬をベンチ入りメンバーに入れながら、実は試合前に帰らせたことがあったと。相手ベンチに気づかれないようにするのは大変だったでしょう?
: 彼の場合は首、ヒジ、腰といろいろ故障も抱えていたので、ちょこちょこ帰らせました。だけど、岩瀬がいなければ相手の攻撃も変わってしまう。いないとなると、相手は右の代打陣を早めにどんどん使ってきますからね。それだけは絶対にバレないように手を尽くしました。グラウンドに顔だけ出させて帰すとか、バスで球場までは来させても、そのまま裏からタクシーに乗せるとか。試合中も気を遣いましたよ。岩瀬がいないから勝ちゲームでも浅尾(拓也)を早めに出すわけにはいかない。左や右のワンポイントをうまく使って、試合中でも岩瀬不在が分からないようにしていましたね。

二宮: 岩瀬といえば思い出すのは2007年の日本シリーズです。中日が3勝1敗で王手をかけた第5戦。先発の山井大介が8回までパーフェクトピッチングをしていたにもかかわらず、中日ベンチは最終回に岩瀬を起用した。岩瀬はピシャリと3人で抑えて試合を締めくくりましたが、この投手起用には「シリーズ初の完全試合のチャンスを潰した」と批判の声もありました。ただ、私は異様な雰囲気のなかマウンドに上がり、平然と仕事をやってのけた岩瀬を称えるべきではないかと考えたのですが……。
: その通りですよ。二宮さんの『天才たちのプロ野球』でも、その点は触れられていましたよね。僕は野球をよく知っているはずのOBたちが、なぜ岩瀬を褒めてくれないのか不思議でならない。あれはレギュラーシーズンじゃない。日本シリーズの、53年ぶり日本一なるかという大事な場面です。点差もわずかに1点。一番信頼のあるピッチャーをマウンドに送り込むのは当然でしょう。そんな責任重大なところを3人で抑えてくるのは本当に大変なんですよ。
(写真:強面に映るが、面倒見のよい指導で選手たちからは慕われていた)

二宮: でも続投か継投か、試合中はかなり悩んだのでは?
: もちろん僕もピッチャー出身ですから、普通なら「我慢して行ってこい」と山井に言いたかったですよ。ただ、この試合を勝つためには山井というピッチャーの特徴も考えなくてはいけない。彼はいい時はいいけど、余計なことを考え出すと終わってしまう。この年はクライマックスシリーズから調子は良かったので最初から先発で使うつもりでしたが、あまり早く本人に伝えると考え過ぎてしまうのでシリーズの勝ち負けの状況を見ながら起用を決めました。第5戦、相手の先発予想はダルビッシュ(有、現レンジャーズ)。正直、負けても仕方がないという計算の下での山井先発でした。本人にも「オマエは5、6回持ったら十分だから。ラクに行けよ。もしうまく行って浅尾、岩瀬につないでくれたら御の字だから」と話していたくらいです。

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 スペシャル対談の後編は5月上旬にアップします。どうぞお楽しみに。
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