3日、ブラジルW杯アジア最終予選が開幕し、日本代表は第1戦を埼玉スタジアム2002で行い、オマーン代表と対戦した。試合は日本が前半12分にMF本田圭佑(CSKAモスクワ)のゴールで先制する。その後はFW前田遼一(磐田)、MF岡崎慎司(シュツットガルト)のゴールでリードを広げ、3−0で試合終了。快勝で最終予選をスタートした。

 本田、快勝導く先制ボレー弾!(埼玉)
日本代表 3−0 オマーン代表
【得点】
[日] 本田圭佑(12分)、前田遼一(51分)、岡崎慎司(54分)
 運命の最終予選を最高のかたちでスタートした。引いて守る相手に3ゴールを奪い、守ってはオマーンのシュートを1本に抑えての完封勝ち。快勝劇の中心にいたのは、背番号4のエース・本田だ。先制ゴールを決めてチームを勢いに乗せると、ピッチ中央、両サイド、さらには中盤後方の位置まで顔を出してボールに絡み、攻撃のリズムをつくりだした。

 試合は立ち上がりから日本がボールを支配する。対するオマーンは日本の攻撃に対し、最終ラインに5人を並べる超守備的布陣で対応してきた。しかし、アルベルト・ザッケローニ監督が「中央を固めてくると思っていた」と語ったように、これは織り込み済み。サイドを積極的に攻め上がることで、密集する相手守備陣を分散させようとした。

 そんな前半12分、日本がサイド攻撃から待望の先制点を奪う。決めたのは本田だ。細かいパス交換からDF長友佑都(インテル)が左サイドを抜け出してゴール前にクロス。これを左足で合わせ、ゴール右下に流し込んだ。長友が左サイドを仕掛けたことで、中央の相手選手間たちの距離が開いた。そのスペースに本田が飛び込む。指揮官の意図どおりの攻撃で生まれたゴールだった。

 エースのゴールで勢いづいた日本は、さらにボールポゼッションを高めてオマーン守備陣に襲い掛かる。28分には、長友が本田とのワンツーから左サイドを突破しセンタリング。岡崎がフリーでヘディングするもわずかにゴール右へ外れた。さらに40分、MF長谷部誠(ヴォルフスブルク)の右サイドからのクロスに岡崎が再び頭で狙う。しかし、これはプレミアリーグで活躍するGKアリ・アルハブシの好守に防がれた。結局、追加点を奪えなかったものの、日本が完全にペースを握ったまま前半を折り返した。

 迎えた後半も、日本はサイドから相手守備網を崩しにかかる。6分には、そのサイド攻撃から前田がゴールを決める。起点になったのは、またも本田だ。左サイドでボールを受けると、タメをつくりながら左前方へパス。受けた香川が中央へ切り込みながらゴール前にクロスを送る。前田のトラップは少し大きかったが、相手GKのセーブよりも一瞬早く、最後は左足で押し込んだ。

 さらに3分後、岡崎がダメ押し点を決める。PA内で前田の打ったシュートがゴール前にこぼれたところを反応して右足でシュート。一度はGKに防がれたものの、再び右足で押し込んだ。サムライブルーのゴールラッシュに、6万3551人が詰めかけたスタンドが大きく沸いた。

 勝利をほぼ確実なものにした日本だが、内田に代えてDF酒井宏樹(柏)、岡崎を下げてMF清武弘嗣(C大阪)ら攻撃的な選手を投入。最後まで攻めの姿勢を緩めない。そして、終了直前、再び本田にチャンスがやってきた。右サイドを突破した酒井の折り返しをPA内左サイドで受けると、左足を振り切る。シュートはゴール右をかすめ、締めくくりのゴールとはならなかったものの、最後までゴールを狙う意識が表れた場面だった。

 マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた本田だが、決して満足はしていない。「初戦ということで自分も含めて少し硬くなっていた」と振り返り、「(それが要因となって)判断や動く場所など、微妙にいつもと違う動きをしていたりとか、いつもより一歩遅かった」と反省点をあげた。確かに受け手のポジショニングがズレ、出し手が前にパスを送れず、攻撃のスピードが上がらない場面も見られた。ザッケローニ監督も「試合前に描いた通りの内容だった」と語りながらも、「“3−0で勝って簡単なゲームだった”と立ち止まってしまうようでは、次の試合は難しいものになる」と次を見据えた。

 次戦は8日(金)にヨルダン代表と埼玉スタジアムで対戦する。過去の対戦成績は日本の1勝1分だが、内容は互角といっていい。2004年のアジア杯では1−1からのPK戦勝利。昨年1月のアジア杯ではグループリーグ初戦で対戦し、1−1で引き分けた。先制されてから守りを固める相手に苦しみ、日本がロスタイムにからくも追いつく展開だった。

 今回は日本のホームだけに、最初から守備的な戦い方をしてくる可能性が高い。そのため、ヨルダン戦もサイド攻撃から相手守備網を揺さぶることが有効だろう。「しっかり自分が出た試合は勝って、得点に絡む。そのクオリティーを高めて、回数も増やす。自分の目的は明確」。本田は次戦に向けて力強く言い切った。ホームで連勝を収め、アウェーでのオーストラリア戦に臨むには、この男の活躍が欠かせない。

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
内田篤人
→酒井宏樹(57分)
今野泰幸
吉田麻也
長友佑都
MF
遠藤保仁
→細貝萌(86分)
長谷部誠
岡崎慎司
→清武弘嗣(74分)
本田圭佑
香川真司
FW
前田遼一