18日、スウェーデン遠征中の日本女子代表が同国のハルムスタッドスタジアムで米国女子代表と対戦した。日本は前半3分、そして10分と立て続けに失点を喫する。同26分にFW永里優季(ポツダム)のゴールで追い上げるが、その後、2点を奪われて1−4。米国に昨年5月以来、4試合ぶりの黒星を喫した。次戦(20日)は、五輪で同組のスウェーデンと対戦する。

 澤、4カ月ぶり代表復帰飾れず(ハルムスタッド)
日本代表 1−4 米国代表
【得点】
[日] 永里優季(26分)
[米] アレックス・モーガン(3分、60分)、アビー・ワンバック(10分、90分+2)
 まず浮き彫りになったのが立ち上がりの悪さだ。ロングボール主体で攻め込んでくる米国に対処できず、押し込まれた。前半3分には、早くも先制を許す。左サイドを崩され、最後はFWアレックス・モーガンに左足でゴール右上へ叩き込まれた。さらに10分にも失点。MFミーガン・ラピノーに左サイドを仕掛けられ、ニアサイドへクロスを上げられる。これをFWアビー・ワンバックにGKの前で合わせられた。わずか試合開始10分で、相手に主導権を握られた。

 立ち上がりのつまずきは攻撃にも影響する。相手のロングボールを奪っても、最終ラインやボランチの位置でパスミスが目立ち、ゴール前までボールを運べない。4カ月ぶりに代表復帰したMF澤穂希(INAC神戸)や司令塔のMF宮間あや(岡山湯郷)は2人、3人と相手にプレッシャーをかけられ、自由にボールを持てない状態が続いた。日本の中盤は米国に支配された。

 反撃の糸口を掴みたい日本は13分、セットプレーから活路を見いだそうとする。相手のミスで得た右CKでショートコーナーを選択。受けたMF大野忍(INAC神戸)がゴール前にクロス。合わせた永里のシュートはゴール左に外れた。しかし、26分には再びセットプレーから1点を返す。決めたのは永里だ。左CKからのこぼれ球を大野が拾って左サイドへ展開。宮間のダイレクトのニアサイドへのクロスに頭で合わせた。

 これで勢いに乗るかと思われた日本だが、この日はミスが目立った。30分には自陣右サイドでのスローインをモーガンに奪われると、そのままドリブルでPAに侵入され、左足でシュートを許す。GK海堀あゆみ(INAC神戸)が足に当てるが、ポストにはね返ったボールを今度はワンバックに狙われた。これは海堀の正面を突き、難を逃れたものの、その後も自陣でのミスからショートカウンターを許すなど、ペースを握れないまま1−2で試合を折り返した。

 迎えた後半も、日本はミスからピンチを招く展開が続く。15分には、自陣右サイドでのパスミスを拾われると、決定的な3点目を決められた。ボールを奪ったモーガンに突破を許し、ゴール左下に流し込まれた。カバーに入ったDF矢野喬子(浦和)も簡単に振り切られており、PAに入られる前に、ファールをしてでも止める粘りも不足していた。

 どうにか流れを変えたい日本は26分、昨年の五輪最終予選以来の復帰となったFW丸山桂里奈(高槻)を投入。攻撃的な采配でゴールを狙いにいく。30分には、PA手前から宮間がミドルシュート。ゴール左上に飛ぶが、GKホープ・ソロのスーパーセーブに防がれた。ただ、米国のプレスは最後まで衰えず、その後は決定機を作り出すには至らない。逆にロスタイム、右サイドのクロスから、ワンバックに頭で押し込まれて1−4。マークの確認ミスで、相手エースはフリーの状態。90分を通し、ミスから崩れる悪い展開を続けてしまった。

「立ち上がりにミスから焦って失点してしまい、自分たちのリズムでゲームを運べなかったことが大敗の原因。米国が前からプレッシャーをかけてくるとことは脅威だった」
 ゴールを決めた永里は、厳しい表情でこう試合を振り返った。キャプテンの宮間も「今日は自分たちの良さが出せなかった」と完敗を認めた。しかし、「五輪を前に悪いところが出たと前向きにとらえたい」と前を向く。五輪でも対戦相手は米国のように前線からプレスをかけてくることが予想される。次のスウェーデン戦までは中1日。短い時間でいかにチームを立て直し、本番につなげられる試合ができるか。なでしこの強さが試される一戦となる。