11日、東京・国立競技場でキリンチャレンジ杯2012が行われ、U-23日本代表がロンドン五輪出場国のU-23ニュージーランド代表と対戦した。日本は後半26分、途中出場のFW杉本健勇(東京V)のゴールで先制する。しかし、終了間際に同点弾を許して1−1。五輪前の国内最終戦は後味の悪い結果となった。

 杉本、代表初ゴールも実らず(国立)
U-23日本代表 1−1 U-23ニュージーランド代表
【得点】
[日] 杉本健勇(71分)
[ニ] ダコタ・ルーカス(90分+4)
「ボールを支配できたのは良かったが、1つ足りないのがゴールだった」
 守護神の権田修一の言葉が、すべてを表していた。日本はシュートを19本、ニュージーランドは2本でそれぞれ1点を奪い合った。日本は先制するまでに時間がかかり、追加点も奪うことができなかった。

 試合は序盤から日本がボールを支配した。MF清武弘嗣(ニュルンベルク)を中心にサイド攻撃を仕掛け、相手ゴールに迫った。前半10分にはMF永井謙佑(名古屋)が快足を飛ばして右サイドを突破。PA内中央へのクロスをMF東慶悟がフリーで合わせた。しかし、シュートはDFに当たり、こぼれたボールもクリアされた。

 30分には、FW大津祐樹(ボルシアMG)が左サイドからのクロスをPA手前で胸トラップ。そこから思い切ってオーバーヘッドキックを繰り出す。だが、これもGKの正面を突き、得点には至らなかった。日本はチャンスをつくりだすものの、ゴールが遠い。
 さらに43分には、東がPA内左サイドへのロングボールに反応し、後方にパス。走り込んできた清武が左足を振り抜くが、ボールはゴール左上へ外れた。結局、スコアレスのまま試合を折り返した。

 後半に入っても日本がニュージーランドを押し込む展開が続く。同1分には、永井がPA手前からミドルシュート。ゴール左ポストに弾かれたところを清武が狙うが、枠をとらえられない。決定的なチャンスをモノにすることができなかった。

 何とか相手守備陣をこじ開けたい日本は、10分にサプライズ的に五輪メンバー入りを果たした杉本を投入。この交代策が的中する。26分、待望の先制点をもたらしたのは、その杉本だ。DF徳永悠平(FC東京)の放ったミドルシュートをGKが弾いたところを押し込む。レギュラー獲りへ強烈なアピールとなる代表初ゴールだった。オーバーエージ(OA)の徳永もうまくゴールに絡み、日本は最高のかたちでリードを奪う。

 ようやく1点をあげた日本は、さらにボールポゼッションを高め、ニュージーランドに攻撃の糸口を掴ませない。36分には清武に代えてMF齋藤学(横浜FM)をピッチへ。ベンチも守りに入らず、攻め続ける意思を示す。終了間際の45分、その齋藤が得意のドリブルでPA内右サイドに侵入して右足でシュート。しかし、ゴール左へ外れ、試合を決める得点をあげることはできなかった。

 すると、最後の最後で落とし穴が待っていた。アディショナルタイムが、提示された4分に入ろうかという時間帯、自陣でパスを受けたMF村松大輔(清水)がパスコースを探しているところを相手に体を寄せられ、ボールを奪われる。一瞬のカウンター攻撃から、最後はFWダコタ・ルーカスにゴール左下へ流し込まれた。あっという間の同点劇に、ほぼ勝利を確信していた3万人の観客からは大きなため息がもれた。

 失点シーンだけをみれば、勝ち切れなかった責任は不用意な奪われ方をした村松にある。しかし、90分間で幾度となく訪れた決定機を決めていけば、勝ち点2を取りこぼすことはなかったはずだ。
「(村松)大輔がボールを取られて失点につながったが、何人が“チーム全体で足りないところがあったので勝てなかった”と本気で思っているか。今日のゲームをどう活かすかがチームとして大事になる」
 試合後、村松に詰め寄る場面も見られた権田は、厳しい口調で痛恨のドローを受け止めた。

 関塚隆監督は「こういう試合をやったらグループリーグで勝ち点を失うことになる。ここをもう一回、チームとして締めていきたい」と語った。チームは一旦解散し、14日のJリーグ終了後に再集合する。初戦のスペイン戦まで残り15日。下を向いている時間はない。

<U-23日本代表出場メンバー>

GK
権田修一
DF
徳永悠平
山村和也
鈴木大輔
酒井宏樹
MF
山口螢
→村松大輔(63分)
扇原貴宏
→米本拓司(76分)
清武弘嗣
→齋藤学(81分)
東慶悟
→杉本健勇(55分)
永井謙佑
→山崎亮平(69分)
FW
大津祐樹