9日(現地時間)、女子バレーボール準決勝が行なわれ、日本は北京五輪金メダルのブラジルと対戦。第1セットからブラジルの高さに苦戦を強いられた日本は、最後まで自分たちのリズムを取り戻すことができず、ストレート負けを喫した。11日には、銅メダルをかけて因縁のライバル韓国と対戦する。

日本 0−3 ブラジル
(18−25、15−25、18−25)
 これまで鬼門とされていた準々決勝で中国との激戦を制し、1988年ソウル五輪以来となる準決勝に進出した全日本女子。36年ぶりの決勝進出をかけてブラジルと対戦した。世界ランキング5位の日本に対し、ブラジルは同2位と格上の相手だが、昨年のW杯ではストレート勝ちを収めている。それだけに大きな期待が寄せられた。ところが、フタを開けてみれば、ブラジルの完勝だった。ブラジルの高さに圧倒され、日本の攻撃がことごとく封じられたのだ。

 第1セット、中盤までは互いに一歩も譲らないシーソーゲームとなった。日本はエースのWS木村沙織、WS江畑幸子、WS新鍋理沙のサイド陣がライト、レフト、さらにはバックアタックとスパイクを決めれば、アテネ大会以来の出場となったMB大友愛がS竹下佳江とのコンビでスピードあるブロードを決めるなど、多彩な攻撃でポイントを重ねた。一方、ブラジルは金メダルを獲得した時のエース、WSシェイラ・カストロを中心に世界一のコンビバレーで日本に連続ポイントを許さなかった。

 試合が動いたのは中盤だった。15−16から日本のサーブレシーブが乱れた。ネット際のボールを竹下が粘ってトスしようとするも、これをファウルにとられ、この試合初めてブラジルが2点をリードした。すると、ここから徐々に試合の流れはブラジルへと傾く。17−20から日本は竹下、新鍋からWS狩野舞子、S中道瞳という得意の“2枚替え”で流れを変えようとするも、逆に4連続ポイントを奪われ、セットポイントとなる。木村のバックアタックで一度は凌ぎ切るも、最後はブラジルのブロードが決まり、このセットを落とした。

 続く第2セット、木村のライトからのスパイクで1ポイント目をあげた日本だったが、序盤からミスが相次ぎ、自らの首を絞めるかたちとなった。ブラジルのブロックを気にしてか、フェイントが多くなった江畑に代え、眞鍋政義監督は早い段階でWS迫田さおりを投入した。その迫田が得意のバックアタックで流れを変えようとするも、新鍋、大友のスパイクがブロックにつかまると、他のアタッカーもブロックを気にするようになり、ミスが出始める。木村はブロックを利用してワンタッチを狙うも、うまくかわされてアウトとなる。さらには迫田が目の前の高い壁が気になったのか、ネットにひっかけるなど、精細さを欠いた。そして最後は木村のライトからのスパイクがブロックにつかまり、日本は崖っぷちに立たされた。

 勝負の第3セット、いきなり木村のバックアタックがブロックにつかまる。さらに3−3から江畑がサーブをネットにかけると、その江畑のバックアタック、さらには木村のレフトからのスパイクと2本連続でブロックにつかまり、3点のリードを許した。そこから大友のブロード、木村のスパイクで5−6と1点差まで詰め寄るも、なかなか逆転することができない。逆に徐々にリードを広げられ、劣勢状態から抜け出すことができなかった。

 途中、MB井上香織、WS山口舞を投入し、“ダブルブロード”をしかけるなど、反撃を試みた日本だったが、勝機を見出すと考えられていたサーブでブラジルのサーブレシーブを崩すことができず、連続ポイントが奪えなかった。逆に鉄壁のリベロ佐野優子にもサーブレシーブでミスが出るなど、ブラジルの伸びるサーブに苦戦を強いられた。最後まで流れを取り戻すことができなかった日本は、0−3でストレート負けを喫した。

 しかし、日本にはまだチャンスが残されている。11日の3位決定戦に勝てば、ロサンゼルス五輪以来、実に28年ぶりに表彰台に上がることができる。相手はアジア最大のライバル韓国だ。5月の五輪最終予選では1−3で敗れており、過去の対戦成績は29勝29敗の五分となっている。日本戦に並々ならぬ闘志を燃やす韓国。メダルをかけた一戦となれば、さらに士気が上がっていることは想像に難くない。果たして“火の鳥NIPPON”は最終予選のリベンジを果たし、悲願のメダル獲得となるのか。サッカー男子同様、“日韓戦”から目が離せない。