11日、女子バレーボール3位決定戦が行なわれ、日本はアジアの宿敵・韓国と対戦。第1セットからサーブで攻めた日本は、3−0でストレート勝ちを収め、1984年ロサンゼルス五輪以来、28年ぶりに銅メダルを獲得した。

日本 3−0 韓国
(25−22、26−24、25−21)
“火の鳥NIPPON”が五輪の表彰台に舞い降りた――。日本は28年ぶり、韓国は36年ぶりというメダルをかけて行なわれた大一番。お互いにとって絶対に負けられないプレッシャーのかかる一戦となったが、そのプレッシャーがマイナスに働いたのか、韓国のプレーは明らかに精細さを欠いていた。一方、日本はメダルへの執念が各選手のプレーに乗り移っていた。

 韓国のサーブから始まった第1セット、まずはキャプテンのMB荒木絵里香の速攻がきれいに決まり、28年ぶりのメダル獲得への1本目を決めた。すると韓国の絶対的エースのWSキム・ヨンギョンがいきなりレフトからのスパイクをアウトにし、日本に連続ポイントが入る。さらにWS新鍋理沙がライトからのスパイクを決めた一方、韓国のブロードがアウトとなり、日本がいきなり4連続ポイントを奪った。その後も韓国にミスが続き、日本は得点を重ねていった。

 しかし、その韓国に付き合うかのように、徐々に日本にもミスが出始める。WS木村沙織がバックアタックをネットにかけると、WS迫田さおりがサーブをアウトにするなど、韓国に得点を与えてしまう。すると、韓国に勢いが出始めた。9−7から3連続ポイントを奪って逆転すると、キム・ヨンギョンが息を吹き返した。日本も新鍋、そしてこの大事な試合にスターティングメンバーに入った迫田の若手アタッカー陣が思いきりのいい攻撃で得点を重ね、シーソーゲームとなった。

 勝敗を分けたのは、ミスだった。21−21から日本は迫田、木村がスパイクを決め、2点差とする。すると、ここでキム・ヨンギョンのバックアタックが決まったかに思われたが、バックアタックラインを踏んだため、日本に得点が入り、セットポイントとなった。そして、最後はこの日大活躍の迫田がライトからのスパイクをきっちりと決め、日本が先取した。

 続く第2セット、日本は木村がサーブで攻め、5連続ポイントを奪う。そして、この日最も当たっていた迫田が爆発。チーム一のジャンプ力を誇る迫田は高い打点から強烈なスパイクを韓国サイドのコートに叩きつけた。日本は最大7点差をつけ、主導権を握った。ところが、やはり宿敵はそう簡単には勝たせてはくれない。中盤、日本は迫田、大友と韓国のブロックにつかまり、16―15とわずか1点差に迫られた。キム・ヨンギョンにボールを集める韓国に対し、日本は調子のいい迫田、新鍋が次々と得点を挙げていった。そして24−24から迫田がレフトからのスパイクをきっちりと決めると、最後は韓国のスパイクがアウトとなり、日本は2セット連続奪取でメダルに王手をかけた。

 勝負の第3セット、メダルへの意識が強まったのか、日本は思うような攻撃ができない。逆に韓国にいいようにスパイク、ブロックを決められ、リードを許した。すると、4−6と2点ビハインドのところで、眞鍋政義監督が早くもタイムアウトをかけた。これで目を覚ましたのがエース木村だった。レフトから次々とスパイクを決め、韓国に追いつく。中盤以降は、またも1点を争う激しい攻防戦が繰り広げられた。

 粘る韓国に対し、日本は迫田と新鍋が競うように最後まで思い切りのいいスパイクで攻めた。19−19から迫田が空中時間の長い、得意のバックアタックを決めれば、新鍋はレフトからワンタッチ狙いの技ありのスパイクを決めた。さらに20−21からは迫田、新鍋、新鍋とレフトからのスパイクを3連続で決め、日本はマッチポイントを迎える。そして、メダルへの最後の1本を決めたのは、この日、チーム最多得点をマークした迫田だった。迫田のレフトからのスパイクが韓国のブロックにかかり、ボールはラインの外へ。その瞬間、日本の28年ぶりとなるメダル獲得が決まった。

 大友やMB井上香織の主力センター陣を欠き、苦しい状況の中で臨んだ今年5月の最終予選。韓国に土をつけられるなど、ロンドン五輪への道に黄色信号が灯ったこともある。それでもぎりぎりで最後の一枚を掴み取ったその執念が、長年、閉ざされ続けてきた扉を開いた。“火の鳥NIPPON”が獲得した銅メダルが、日本の女子バレーボール界にとって未来への大きな一歩となる。