11日、レスリングの男子フリースタイル60キロ級で湯元健一(ALSOK)が3位決定戦でコールマン・スコット(米国)に敗れ、2大会連続のメダルはならなかった。前回銅の湯元は3回戦で、金メダルを獲得したトグラル・アスガロフ(アゼルバイジャン)に敗戦。敗者復活戦を勝ち抜いたが、前日の弟・進一(自衛隊)に続くメダルには届かなかった。
 メダルまで、あと15秒、されど15秒だった。
 3位決定戦は第1ピリオドを湯元、第2ピリオドをスコットが取り合い、最終第3ピリオドに突入する。先制したのは湯元だ。バックをとり、1ポイントを先制する。そのままポイントをリードし、メダルへのカウントダウンが始まりかけた矢先のことだった。

 足が揃った一瞬のスキを突かれ、スコットのタックルで体勢を崩す。倒れたところを後ろにまわられ、1−1の同点に。さらに体を一回転させられて2点を失った。あっという間の逆転劇。試合後、湯元はマットにひざをついたまま、しばらく放心状態だった。

 3回戦では19歳の若き欧州王者、アスガロフの軟らかい身のこなしに対応しきれず、1ピリオド、2ピリオドともバックにつかれてポイントを失い、敗れた。しかし、気持ちを入れ替え、敗者復活戦ではティム・シュライハー(ドイツ)から第1ピリオドでテクニカルフォールを奪うなど圧勝。双子で揃ってのメダル獲得に望みをつないでいた。

 前回は自身がメダルに輝き、弟は五輪に出られなかった。今回は2人で出場を果たしたが、弟は銅、自身はメダルなしと再び明暗が分かれた。
「やりきった思いはある。2人で自分のレスリングができた」
 悔しさを押し殺しつつ、兄は弟とともに挑んだ大舞台を振り返った。