13日、東京ドームで侍ジャパン強化試合の対オランダ第2戦が行われ、日本は12-10でオランダを下した。先発・石田健太(横浜DeNA)、2番手・田口麗斗(巨人)が打ち込まれ、6回裏までに8点を奪われる。日本は6点追う7回表、代打・大谷翔平(北海道日本ハム)の二塁打をきっかけに、打者一巡の猛攻で同点に追いついた。8-8のまま延長タイブレークに入ると、10回表に鈴木誠也(広島)が満塁本塁打を放ち、一挙4点を追加した。その裏、千賀滉大(福岡ソフトバンク)が2点を失ったが、12-10でゲームを締めた。

 

◇第2戦

 5番手・秋吉、2イニングパーフェクト(日本2勝、東京ドーム)

日本代表          12 = 010|100|600|4

オランダ代表        10 = 220|130|000|2(延長10回)

勝利投手 秋吉(1勝0敗)

敗戦投手 プルッガー(0勝1敗)

セーブ  千賀(1S)

本塁打  (日)松田1号ソロ、鈴木1号満塁

     (オ)スコープ1号3ラン

 

 

 前日に行われた第1戦は、日本が延長10回タイブレークの末、大野奨太(日本ハム)のタイムリーでサヨナラ勝ちを収めた。第1戦に続いて、タイブレークで決着がついた。

 

 日本は2回表に大野のタイムリー、4回表に松田宣浩(ソフトバンク)のソロホームランで得点を奪ったが、ピッチャー陣がピリッとしなかった。序盤からオランダに得点を許して大きくリードを広げられる。

 

 6点を追いかける日本は、7回表に怒涛の攻撃をみせる。反撃の狼煙をあげたのは、この回先頭の代打・大谷だった。大谷は4番手のウェンデル・フロラヌスが投じた3球目を勢いよく振り抜く。打球はライト方向にぐんぐんと高く舞い上がると、ヒュンと突然消えた。

 

 球場内がざわめく中、大谷はダイヤモンドをゆっくりと一周した。大谷が放った打球は天井の隙間から入り込み、その後もグラウンドに落ちてこない。審判団が集まり、二塁打でゲームは再開。日本はこの一打をきっかけに、1死一、二塁のチャンスを作った。すると菊池涼介(広島)、山田哲人(東京ヤクルト)、中村晃(福岡ソフトバンク)、筒香嘉智(DeNA)、鈴木の5連打で同点に追いついた。

 

 ゲームを振り出しに戻した日本は、7回裏を山崎康晃(DeNA)、8回裏からの2イニングを秋吉亮(ヤクルト)が無失点に抑える。両軍譲らぬ展開で、2夜連続でタイブレークへ突入した。

 

 10回表無死は一塁に山田、二塁に鈴木を置いて攻撃を開始する。中村が送りバント失敗した後、筒香がフォアボールを選んで1死満塁と好機を広げた。打席には、この試合で2本のタイムリーを打っている鈴木。本人が「満塁の場面で吐きそうでした」と口にする大チャンスで、5球目をレフトスタンドに放り込んだ。試合後、「追い込まれていたので何とか自分のスイングをした」と、この場面を振り返った。

 

 鈴木の試合を決める満塁弾で4点のリードを奪った日本。その裏に2点を返されたものの、なんとか12-10で逃げ切った。

 

 表の攻撃は不利だと言われるタイブレークをモノにできたことは、非常に大きな収穫となった。小久保裕紀監督は「今日は先攻を経験できた。この4日間得点は結構取られましたが、良い経験ができた」と手応えを口にした。

 

 4試合の強化試合を終えた日本は、対メキシコ1勝1敗、対オランダ2勝と3勝1敗で勝ち越した。ピッチャー陣に不安は残したが、4試合で35得点の攻撃陣がそれをカバーした。来年3月のWBCでの世界一奪還に向けて、大きな弾みをつけた。

 

(文/安部晴奈)