12日、欧州遠征中の日本代表(FIFAランキング23位)が、スタッド・ド・フランスでフランス代表(同13位)と対戦した。前半は終始攻め込まれた日本だが、相手にゴールは割らせない。後半も守勢を強いられたが、徐々に攻撃のかたちを見せ始める。迎えた43分、MF香川真司(マンU)のゴールが決まり、これが決勝点。6度目の対戦でフランスから初白星を挙げた。日本は16日、ポーランドでブラジル代表(同14位)と対戦する。

 遠藤、最多タイの国際Aマッチ122試合出場(スタッド・ド・フランス)
フランス代表 0−1 日本代表
【得点】
[日] 香川真司(88分)
 肉を切らせて骨を断ち、勝利を手にした。立役者はGK川島永嗣(リエージュ)。21本のシュートを被弾したものの、好セーブを連発してゴールに鍵をかけた。

 日本は試合開始からエンジン全開のフランスに防戦一方となった。前半3分、右CKからDFローラン・コシールニーに頭で合わされる。25分には、FWカリム・ベンゼマにPA内左サイドでシュートを打たれた。いずれもわずかに枠を外れたが、中田英寿や小野伸二ら黄金世代を擁しながらも0−5で大敗した“サンドニの悲劇”(01年)を思い起こさせられる怒涛の攻撃だった。

 なんとか攻撃の糸口をつかみたい日本は、細かいパス回しから相手ゴールに迫る。しかし、ラストパスの出しどころを探す間にプレスをかけられて奪われ、なかなかシュートまで持ち込めない。逆に38分、PA手前でフランスにFKを与えてしまう。ベンゼマのキックはゴール右下へ飛ぶが、川島が横っ飛びで弾き出した。前半だけで14本のシュートを浴びたものの、なんとか0−0で試合を折り返した。

 日本は後半も序盤から守勢を強いられたものの、10分、右サイドで得たFKをMF中村憲剛(川崎F)が素早いリスタートを受け、PA手前からミドルシュート。GKが弾いたところにFWハーフナー・マイク(フィテッセ)が詰め、香川がこぼれ球を拾ってシュート性のクロスを上げた。これは味方に合わなかったものの、ようやく得点の匂いが感じられた場面だった。さらに13分にも中村がPA手前からミドルシュート。20分にも、交代直後のMF乾貴士(フランクフルト)がPA手前から右足で狙うなど、劣勢のなかで徐々に攻撃のかたちをつくり始めた。

 ただ、23分にMFフランク・リベリがピッチに送り出されると、彼を中心にシュートまで持ち込まれ、予断を許さない時間帯が続く。その中で光ったのが川島だ。29分、リベリのPA内左サイドからのシュートを、前にいた味方がブラインドになりながらも、確実に抑え込んだ。42分には、PA中央からジルーにゴール左を狙われるが、右手1本でビッグセーブ。直後のCKでこぼれ球を狙われたものの、パンチングで弾きだした。

 守護神の立て続けの好守が、決勝点につながる。そのCKから、カウンターで香川が決めたのだ。DF今野泰幸(G大阪)がこぼれ球を拾い、一気に相手のPA手前までドリブルしてPA内右サイドへスルーパス。DF長友佑都(インテル)のクロスを、香川が倒れこみながら右足ボレーでゴールに流し込んだ。香川は両手を大きく広げて喜びを表し、アシストした長友はベンチ前で控え選手と抱き合う。絵に描いたような速攻で、スタッド・ド・フランスに駆け付けた日本のサポーターに勝利を捧げた。

「日本代表はここ(サンドニ)で過去に悔しい思いをしている。(今回は)フランスの人にもいい印象を与えられたんじゃないかと思う」
 川島は納得の表情で歴史的勝利を噛みしめた。試合を通して劣勢を強いられた中で、最後まで集中を切らさなかった。今季から移籍したベルギーの名門スタンダール・リエージュでも開幕からフル出場を続けており、安定感はさらに増している。

 次戦で当たるブラジルもネイマールやフッキら世界屈指の攻撃陣を要している。選手個々のレベルはフランスよりも上だろう。最後に「もうひとついいゲームをできるようにしたい」と語った守護神が、王国の前に立ちふさがる。

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
酒井宏樹
→内田篤人(86分)
吉田麻也
今野泰幸
長友佑都
MF
遠藤保仁
長谷部誠
→細貝萌(62分)
清武弘嗣
中村憲剛
→乾貴士(62分)
香川真司
FW
ハーフナー・マイク
→高橋秀人(86分)