10日(現地時間)、スピードスケートの男子500メートルが行われ、ミヘル・ムルダー(オランダ)が金メダルを獲得した。また総合2位にヤン・スメーケンス(同)、同3位にロナルド・ムルダー(同)が入り、オランダ勢が表彰台を独占した。日本人選手は加藤条治が同5位、1回目で3位につけた長島圭一郎は同6位だった。その他の日本勢は及川佑同15位、上條有司は同20位だった。
「悔しい。情けないし、申し訳ない」
 息を切らしながら、長島はこう語った。1回目で3位につけ、金メダルも視界にとらえていた。しかし、結果は総合6位。2大会連続のメダルにも届かなかった。

 現地時間の夕方にスタートした1回目で、長島はM・ムルダーと17組を滑った。100メートルのタイムは全体トップの9秒58と抜群のスタートを見せたが、最終カーブでバランスを崩し、減速。M・ムルダーに抜かれると最後の直線も伸び切らず、34秒79でゴールした。だがこの時点でトップと0.2秒差の3位につけ、表彰台の頂上も届かない場所ではなかった。

 加藤は16組に登場し、同種目バンクーバー金メダリストのモ・テボム(韓国)と同走した。加藤は出足の100メートルこそ上回ったものの、最後の直線でモ・テボムにかわされ、34秒966で5位。2回目で逆転の表彰台を狙った。

 迎えた2回目、加藤の18組の前に滑ったR・ムルダーが、34秒49のリンクレコードをマーク。この時点で総合トップに躍り出た。直前で好記録を出された加藤は、R・ムルダーの記録を上回らない限り、金メダルの可能性がなくなった。その中でアウトスタートの加藤は序盤からスピードに乗り、バックストレッチで早くも同走のニコ・イーレ(ドイツ)に追いつく。最後までスピードを落とすことなく、ゴールラインを通過した。しかし、タイムは34秒77。1本目を上回ったものの、R・ムルダーに次ぐ総合2位となり、メダル獲得が厳しくなった。

 すると、つづく19組でM・ムルダーが34秒67を叩き出して総合1位に入り、同走のモ・テボムが同3位に。この時点で加藤は同4位に転落した。

 長島は最終組に1回目トップのスメーケンスと滑った。インスタートの長島は最初の100メートルを9秒58で通過し、第1コーナーもスムーズにこなした。しかし、スメーケンスに第2コーナーで追いつかれると、そのまま差を広げられた。タイムは1本目を下回る35秒25。合計タイムも70秒040で総合6位となり、表彰台には届かなかった。

「オランダ勢と差を広げられてしまったかな」
 長島がこう語ったように、最終結果はオランダ勢に表彰台を独占された。84年サラエボ五輪で北沢欣浩が同種目で日本人初のメダルを獲得してから、メダルを獲得できなかったのは06年トリノ五輪以来、2度目。現在、長島は31歳、加藤は29歳で今後は本格的に世代交代が進むことになる。世界と渡り合える若手を育成し、4年後の平昌では日の丸を掲揚できるのか。日本スピードスケート界に、大きな課題が突き付けられた。

 日本、メダル期待の女子3000メートルリレーでA決勝進出ならず 〜ショートトラック〜

 ショートトラック競技は女子3000メートルリレー、同500メートル、男子1500メートルの3種目が行われた。日本はメダル獲得も期待された女子3000メートルリレーで、準決勝3位に終わり、A決勝進出を逃した。男子1500メートルと女子500メートルの個人種目でも振るわず、各3人が出場した日本勢は全て予選落ちとなった。

「メダルに近い種目」。そう期待されていた女子3000メートルリレーの日本代表だったが、A決勝進出は遠かった。上位2カ国までがA決勝へ進める準決勝、日本は中国、イタリア、オランダと同組だった。

 日本はバンクーバー五輪にも出場した伊藤亜由子(トヨタ自動車)が第1走を務めた。前回の五輪でスタートダッシュに失敗した伊藤は、その雪辱に燃えていた。しかし、号砲とともに抜け出したのは中国、イタリア、オランダ、日本の順だった。大外からスタートした伊藤は、最下位に位置し、序盤から苦しい展開となった。

 2走の桜井美馬(東海東京証券)、3走の酒井裕唯(日本再生推進機構)、4走の清水小百合(中京大職)とタッチを繋いでも状況は好転しない。この組の中で図抜けた実力を持つ中国は、残り15周を過ぎたあたりで抜け出すと、独走状態に入る。2位争いをイタリアとオランダが展開し、日本は少し離され、それを追う。

 残り6周半のところで、走者がタッチするタイミングでオランダとイタリアが接触。オランダの選手が転倒し、日本は3位に浮上した。中国は他国に影を踏ませぬ大量リードのままゴールし、準決勝を楽々通過した。日本も2位のイタリアに追いすがったが、0秒633届かず3着に終わった。

 先に行われた女子500メートル予選は酒井、桜井、伊藤が出場し、全員が予選敗退。同日に行われた男子1500メートル予選でも日本人が全滅していただけに、チーム種目で意地を見せたかったが、及ばなかった。中国、韓国とは水をあけられていたものの、昨年のW杯や世界戦選手権で表彰台に上るなど、第2グループの先頭を走っていた日本。しかし、今シーズンのW杯では、近年力をつけてきたライバルのイタリア、カナダの後塵を拝していた。全4戦で1度もメダルを獲得できず、世界ランキングも7位と停滞していた。今シーズンの勢力図通りの結果となってしまった。

 五輪でのショートラックは長野大会以来、表彰台から遠ざかっており、女子にいたってはまだメダルを手にしたことがない。前回大会からメダル獲得を目標に、ほぼ同じメンバーで国際大会に臨んでいたリレーチーム。それだけに、この結果は選手たちもショックが大きいだろう。日本は5〜7位を争う18日のB決勝へ回る。メダルの可能性はほぼ潰えたが、まずはB決勝でトップに立ち、“ビリーブジャパン”の意地を見せて欲しい。

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