13日(現地時間)、フィギュアスケート男子シングルショートプログラム(SP)が行われ、19歳の羽生結弦が完璧な演技をみせ、SP史上最高得点となる101.45点を叩き出して首位に立った。SPで得点が100点を超えたのは史上初めて。2位はパトリック・チャン(カナダ)で97.50点、3位はハビエル・フェルナンデス(スペイン)で86.98点。他の日本勢は高橋大輔が86.40点で4位につけ、町田樹は83.48点で11位と出遅れた。過去3大会でいずれもメダルを獲得しているエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)は腰を痛め、演技前に棄権した。フリーは14日に行われる。
「パリの散歩道」は金メダルへと続く道だ。
 ギターが奏でる悲しい音色の曲に乗せ、羽生が氷上を鮮やかに舞う。その2分30秒間に世界中が魅了された。

 羽生は30人中、19番目の滑走。7番目に登場するはずだったプルシェンコが棄権する波乱も起き、本人は五輪特有の雰囲気に「足が震えていた」と振り返る。だが、実際の演技は、そんなことを微塵も感じさせなかった。

 最初のヤマ場となる4回転はジャンプが高く、着地もパーフェクト。残り2回のジャンプは得点が1.1倍となる後半に入れる構成で、トリプルアクセルを見事に決める。さらにトリプルルッツからトリプルトーループのコンビネーションジャンプも成功させた。

 ジャンプのみならず、流れるようなステップやスピンに、豊かな表現力。非の打ちどころのない内容に、会場からは自然発生的にスタンディングオベーションが起こる。

 さらにスタンドが沸いたのは、得点が発表された瞬間だ。101.45――。内訳は技術点54.84点、演技構成点46.61点で、昨年12月のグランプリファイナルで自身がマークした99.84点の史上最高得点を大舞台で更新した。しかも、誰も成し遂げたことのない100点台突入。羽生も得点を見た瞬間、「ヨッシャー」と力強いガッツポーズを見せた。

「100点を超えたことよりも、自分のベストを超えられたことがうれしい」
 演技後、喜びを口にした羽生だが、「まだまだ自分の演技とは程遠い」とうかれたところは全くなかった。2位には最大のライバル、チャンが入り、その差は3.93点。羽生が一歩リードしているものの予断は許さない。

「今日やれることはやれた。明日は明日でいい演技がしたい」
 日本男子フィギュア界初となる一番輝けるメダルへ、フリーでもう一度、リンクを羽生ワールドに染め上げる。

 バンクーバー五輪銅メダリストの高橋は2大会連続のメダルへまずまずの位置につけた。故障を抱える右すね、右ヒザの状態が気がかりな中、冒頭の4回転は、最後まで回り切れずに両足で着地してしまう。だが、ここから持ち直すのは経験の為せる業。得意のステップでリズムをつくると、トリプルアクセル、トリプルルッツとトリプルトーループの連続ジャンプは確実に決めて挽回した。

「厳しい戦いだが、まだ終わっていない。精一杯やれることをやって、今できる最高のパフォーマンスを目指したい」
 3位フェルナンデスとは0.58点と僅差。競技人生の集大成へフリーの4分30秒にすべてを出し切る。

 一方の町田は演技後、「悔しいです……」と唇を噛みしめた。落とし穴があったのは、このところ好調だったジャンプだ。最初の4回転でバランスを崩し、続くトリプルトーループがダブルに。さらに最後のトリプルルッツも回り切れず、ダブルにとどまった。

 リンクではうつむき、「僕はこんなミスはしない」と無念の表情。ただ、11位とはいえ、メダル圏内までは3.50点でフリーでの逆転は可能だ。
「絶対に諦めない」
 町田は前をグッと向き、「(日本では)今日はバレンタインデーですけど、明日は逆バレンタインできるように頑張る」と巻き返しを誓った。

 スマイルジャパン、ドイツに大敗 〜女子アイスホッケー〜

 女子アイスホッケー予選ではB組の日本代表(IIHF世界ランキング10位)とドイツ代表(同7位)が対戦した。日本は第1ピリオドに先制を許す苦しい立ち上がり。続く第2ピリオドに1点、第3ピリオドには2点を追加され、0−4で完敗した。リーグ戦を3連敗で終えた日本は、16日からはじまる5〜8位決定戦で初勝利を目指す。

 初勝利は、またしても遠かった。

 日本はスウェーデン、ロシアに1点差負けし、目標であるメダル獲得は叶わなかった。決勝トーナメント進出の可能性を絶たれた日本にとって、リーグ最終戦は、16年前には果たせなかった初白星を掴みとる戦いだった。日本代表の飯塚祐司監督は、DF鈴木世奈(SEIBUプリンセスラビッツ)が体調不良で欠場したこともあり、セットを組み替えるテコ入れを行った。スタメンの第1セットCFにFW久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)を配置し、FW大澤ちほ(三星ダイトーペリグリン)とFW中村亜実(SEIBUプリンセスラビッツ)を組ませた。

 立ち上がりから日本は、積極的にシュートを放ち、ドイツゴールに襲いかかった。これまでの2戦以上に攻撃的な姿勢が見られ、得点の可能性を感じさせた。しかし、先制点を奪ったのはドイツ。日本は反則により、1人が一時退場(2分間)していたキルプレー(KP)の時間帯だった。13分23秒に自陣で相手にこぼれ球を拾われると、そこからFWマヌエラ・アンヴァンダーにゴールを狙われる。シュートコースにはドイツ選手がフリーで待っていた。パックに触れることはなかったが、GK藤本那菜(ボルテックス札幌)にとってはブラインドとなり、反応し切れなかった。

 3戦連続で先制点を許す展開となった日本だが、16分過ぎに久保と大澤がシュートまでいくチャンスを作った。いずれもゴールにはならなかったものの、第1ピリオドは枠内シュート11本放った。対するドイツは8本と、互角以上の内容。

 第1ピリオド終了間際のドイツのファウルにより、第2ピリオドはパワープレー(PP)でスタートした。わずかな時間だったが、そのチャンスも生かせないと直後、ドイツに追加点が生まれた。48秒にFWフランシスカ・ブッシュに藤本の肩口を狙われるハイショットがゴールに突き刺さった。2点のビハインドを背負った日本も反撃を試みるが、2度のPPも生かせず、このピリオドも枠内シュートでドイツを上回るも無得点で終えた。

 第3ピリオドに入ると、ドイツに何度も決定的なチャンスを作られる。ここは藤本が身を挺してゴールを割らせない。ロシア戦後は自らを責めた藤本だったが、2戦とも好セーブを連発していた。この日も1対1となっても、不用意に飛び出さず冷静にゴールマウスを守った。

 守護神の奮闘に応えたかった攻撃陣だが、なかなかゴールを奪えない。すると、残り2分を切ったところでドイツに自陣深い位置まで攻め込まれると、決定的となる3失点目を喫する。日本は1点を奪いにGKを下げる6人攻撃を仕掛けるが、敵陣で相手にパックを奪われる。すると相手選手がクリアーしたパックが、そのまま無人のゴールへ。結局、枠内シュート数こそドイツより5本上回ったものの、0−4の完敗でリーグ戦を終えた。

 この試合5度のPPは1度も得点に結び付けられなかった。予選3試合を終えて1得点。攻撃に課題を残す結果となった。とはいえ、ここでスマイルジャパンの戦いが終わったわけではない。B組最下位となったが、5〜8位を決める順位決定戦があと2試合残っている。目標は叶わなかったが、そこで初勝利を掴み、トレードマークの笑顔でソチを後にしたい。

 米国に敗れ、2勝2敗に 〜カーリング女子〜
 
 カーリング女子の1次リーグ第4戦、日本は米国と対戦して6−8で敗れ、成績が2勝2敗となった。日本は第2エンドに2点を取って流れをつかみかけたものの、2−2の同点で迎えた第4エンド、スチールで2点を奪われて苦しい展開となる。第9エンドには2点を返して1点差に追いすがるも、最終10エンドで米国に追加点を奪われて3連勝はならなかった。

 この日から日本はインフルエンザで離脱していた小野寺佳歩が復帰。ベストメンバーで連勝中の勢いをさらに加速させかったところで痛い1敗を喫した。
 
 米国は世界ランキング7位と格上ながら、この1次リーグでは白星なしの4連敗。波に乗れていない相手に、日本は後攻の第2エンド、最終投でNo.1に位置する米国のストーンをはじいて2点を獲得。2−1と逆転に成功する。続く第3エンドは逆に2点を奪われるピンチだったが、相手のショットが狙いより伸びてハウスの外に出たため、1点にとどまり、試合は日本ペースだった。

 しかし第4エンド、流れが変わる。米国は好ショットを連発し、最終投でも日本のストーンをすべて弾き出してハウス内に6つのストーンを集める。日本はNo.1の位置を狙うしかない状況だったが、スキップ小笠原歩の放ったショットはハウスの中心に収まらない。スチールで2点のリードを許した。

 これを機に米国はショットの精度が高まり、日本は後攻の第5、第7エンドで1点しか取れない状況に追い込まれる。逆に第8エンド、日本の最終投が米国のストーンをNo.1の位置から出しきれないで終わると、着実にショットをハウス中央付近に入れ、4−7とリードを広げられた。

 それでも日本は9エンドに2点を返し、勝負の行方は最終10エンドへ。スチールでの同点、逆転劇に望みをつなぐも、米国のショットがミスなく日本のストーンを弾き出し、チャンスを与えない。最後はきっちり米国の最終投がハウス中心に収まり、勝負の決着がついた。

 日本は今後、英国、カナダ、スイス、中国、スウェーデンと世界ランクトップ5の上位国との対戦が控える。上位進出を目指す上で正念場がやってきた。 

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