16日、全日本スキー連盟(SAJ)はソチ五輪メダリストの顕彰式と祝賀会を都内ホテルで行った。顕彰式では、SAJの鈴木洋一会長から、ノルディックスキーのジャンプ男子ラージヒル個人銀、団体銅と2つのメダルを獲得した葛西紀明(土屋ホーム)、スノーボード女子パラレル大回転で銀メダルを手にした竹内智香(広島ガス)ら9名のメダリストに顕彰盾と報奨金が贈られた。報奨金は日本オリンピック委員会のものと同額(金300万円、銀200万円、銅100万円)。ソチ五輪では、国外開催の冬季五輪過去最多の8個(金1、銀4、銅3)のメダルを獲得した日本選手団。うち7個(銀4、銅3)がSAJに所属する雪上競技だった。顕彰式には日本選手団の橋本聖子団長が出席し、主将の葛西を「先頭に立って夢と勇気と希望を与えてくれた。彼が主将を務めたからこそのオリンピックの成果」と称えた。
(写真:記念撮影で笑顔を見せる葛西<左>と竹内)
 ソチ五輪での活躍が目立ったスキー、スノーボードの雪上競技。トリノ、バンクーバーでは2大会連続でメダルを逃していた。今回、日本がメダル獲得総数に加え、入賞数でも国外開催の冬季五輪史上最多の28個を手にすることができたのは、その半数以上が雪上競技で獲得した。SAJの鈴木会長は顕彰式の挨拶で「多数の入賞を見ることができたのは、選手の努力の結果はもちろん、たくさんの方々のご支援があっての成果」と、選手や関係各位に謝辞を述べた。

 メダリストの中でも選手団の主将であり、最年長の41歳・葛西の活躍なくして、ソチ五輪は語れないだろう。結婚発表後、初の公の場となったため報道陣からは、そのことについて多く聞かれた。葛西は「たくさん支えてもらった。メダル獲得も彼女のおかげ」と“内助の功”に感謝した。今後については「金メダルが獲れていない。4年後の平昌(韓国)では金という大きな目標に向かって頑張っていきたい」と、かねてから口にしていた8大会連続の五輪出場と悲願の表彰台の頂点への挑戦を誓った。

 一方でアルペン競技初のメダリストとなった竹内は「まずは休んで、自分の気持ちをしっかりと決めたい」と、進退について明言しなかった。彼女が平昌を目指すかどうかは「絶対にいて欲しい1人」と抜群の信頼を寄せるコーチのフェリックス・シュタドラーとの契約が大きく関わってくるだろう。現在交渉中だが、彼には世界各国からオファーが届いており、その結論は夏ごろまでかかるという。

「ソチ以上の成績を平昌であげていきたい」。SAJの鈴木会長は4年後に向けて抱負を語った。ソチで煌めいた雪上競技の選手たち。マルチサポートハウスなど現地での支援も大きな力になったはずだ。まだまだ冬の競技はマイナースポーツが多く、環境やサポート体制が整っていないものもある。更なる飛躍を目指すなら、国をあげて選手たちを後押して欲しい。

(文・写真/杉浦泰介)