第56回全日本大学野球選手権は17日、神宮球場で決勝が行われ、早大が4−1で東海大を破って33年ぶり3度目の大学日本一に輝いた。早大は1年生右腕の斎藤佑樹が準決勝に続き先発。6回途中まで強打の東海大を1失点に封じ、優勝に大きく貢献した。 大会の最高殊勲選手(MVP)には斎藤が選ばれた。
 前日の準決勝で先発、82球を投げた斎藤。順当にいけば、決勝の先発は須田幸太(3年)か、松下健太(2年)かと思われた。ところが、早大・應武篤良監督は昨夏の甲子園を制した斎藤の勝負強さにかけた。

 初回、早大は4番・田中幸の犠飛で1点を先制する。援護をもらってマウンドに上がった斎藤は上々の立ち上がりを見せる。先頭の荒波翔(4年)をフォークでファーストライナーに仕留めると、2番の永松孝太(4年)はフルカウントから、内角ストレートで見逃し三振。続く岩崎恭平(3年)はセカンドゴロで東海大の攻撃を三者凡退に切ってとった。

 準決勝では苦しんだ斎藤だったが、この日は球速を抑え、丁寧な投球に終始した。3回、先頭の木本徹(4年)に初安打を許し、2死1、3塁とピンチを招く。しかし、2番・永松からフォークで2打席連続三振を奪い、得点を与えない。

 すると早大は4回、小野塚誠(4年)が2ランを放ち、リードは3点に。早稲田実業出身の先輩が斎藤を大きく援護する。斎藤は走者を背負うピッチングながら、相手に決定打を与えない。4回は安打と四球で1死満塁とされるが、7番・木本をサードゴロ併殺打。6回は9番・三浦祥平(3年)にヒットを打たれたが、牽制で刺すなど、冷静にピンチの芽をつみとった。

 ところが、東海大は10年連続で大会に出場している強豪。疲れの出てきた斎藤のボールを徐々に見極めはじめる。打順が3順目を迎えた6回、斎藤は2死を奪ったが、4番・加治前竜一(4年)に四球を与える。ここで5番・加藤孝紀(4年)はカウント1−3からストライクを取りにきたボールをライト前へ。2死1、2塁となって6番・市川友也(4年)も甘く入った変化球をはじき返す。レフト前タイムリーで1−3。斎藤は1点を失った。

 ここで、早大・應武監督は斎藤をあきらめ、松下にスイッチ。この松下が好投をみせた。2死1、2塁と続くピンチをしのぐと、最後までパーフェクトリリーフ。斎藤がつくった良い流れをさらに加速されて、33年ぶりの栄冠を引き寄せた。

 前年夏の甲子園優勝投手が、翌年の大学野球選手権を制したのは史上初。1年生にしてMVPを受賞した神宮の星はどこまで“不敗神話”を続けるのか。なお、最優秀投手は2回戦で先発、準決勝と決勝で好リリーフをみせた松下、首位打者には早大の1番打者として打線を引っ張った上本博紀(3年)が獲得(.583)した。

 田中幸、先制犠飛 小野塚、貴重な一発
早稲田大 4 = 100200100
東海大   1 = 000001000
勝利投手 斎藤
敗戦投手 小松崎
本塁打   (早)小野塚1号2ラン