第56回全日本大学野球選手権は16日、神宮球場で準決勝が行われ、注目の早稲田大学は第2試合で創価大と対戦した。先発は1年生右腕の斎藤佑樹。斎藤は立ち上がりに1点を失ったが、直後に早大が逆転。2回以降は立ち直った斎藤は5回を被安打2、失点1で抑え、早大は10−1で勝った。この結果、決勝は東海大と早大の顔合わせとなった。
 5年ぶりの決勝をかけた一戦、早大は昨夏から登板すると26試合無敗の斎藤を先発に起用した。ぎっしりと埋まった神宮球場の内野スタンドからの大歓声に送られ、斎藤はマウンドに上がる。

 ところが立ち上がりは制球に苦しんだ。1死から創価大の2番・花山貴志(2年)に高めに甘く入った球をライト前に運ばれる。続く田中隆彦(4年)の打席で、すかさず花山は盗塁を決め、右腕を揺さぶると、斎藤は4球連続ボール。田中を歩かせてしまう。さらにこのボールが暴投となり、初回から1死1、3塁のピンチを迎える。
 ここで4番・小早川伸仁(4年)の当たりはサードへのゴロ。大きく弾んだ打球は前進して捕球しようとした三塁手の頭上を越え、レフトへ。三塁走者が生還し、斎藤は1点を失った。

 なおも1死1、2塁。苦しい中、斎藤はプレートを外し、間合いを取る。ペースを取り戻した斎藤は、5番・楠本大樹(4年)を内角の直球で詰まらせてライトフライ。6番・田上健一(2年)にはフルカウントから低めの厳しいコースにストレートをきめ、見逃し三振。全体的にボールが高めに浮く内容ながら、斎藤は要所を締めて初回を最小失点でしのいだ。

 すると直後に早大打線が爆発。連打で1死2、3塁のチャンスをつくり、主砲の田中幸長(4年)がきれいに1、2塁間を破るタイムリーを放つ。さらに5番・小野塚誠(4年)が意表をつくスクイズ。創価大の先発投手・川又一樹(3年)が処理できず(記録は失策)、あっという間に逆転に成功した。流れをつかんだ早大はその後も安打を連ね、初回に一挙6点を奪った。

 援護を受けた斎藤は2回以降、本来の調子を取り戻す。得意のスライダーと直球がコーナーに決まり、2回から4回まで相手の攻撃を3人ずつで退けた。
 さらに強さを見せたのは5回。斎藤は再び制球を乱し、連続四球で初回以来のピンチを迎える。しかし、應武篤良監督がマウンドで一呼吸を入れると、1番・佐伯裕次郎(4年)をレフトフライ、2番・花山を得意のスライダーで空振り三振に打ち取る。リズムをつかみなおした斎藤は両手の拳をグッと握り、小躍りしながらマウンドを降りた。

 最終的にはこの回限り、82球を投げ、斎藤は余力を残して2番手以降に後を託した。代わって登板した松下健太(2年)、須田幸太(3年)も創価大に得点を与えず、試合は10−1。早大は快勝で33年ぶりの大学日本一に王手をかけた。
 立ち上がりから思ったところにボールがいかない状態ながら結果を出した斎藤。これで不敗神話は27試合に伸びた。注目を集めながらも期待に応え続けるところに彼の非凡さはある。春季リーグの祝勝会で自ら宣言したように「一生勝ち続ける」早大黄金時代の礎を築くことはできるのか。明日(17日)の東海大との決勝でのピッチングにも大いに注目が集まる。

 初回の集中打で一挙6点、快勝
創価大   1 = 100000000
早稲田大 10 = 60010102×
勝利投手 斎藤
敗戦投手 勝又

 14安打13得点で大勝
東日本国際大 1 = 000000001
東海大     13 = 30061003×
勝利投手 小松崎
敗戦投手 鈴木
本塁打   (海)加治前1号2ラン

 なお、携帯サイト「二宮清純.com」では特集コーナー「大学野球選手権2007」を開設中! みどころや試合結果、元日本ハム投手・今関勝さんによる解説など、大会期間中、情報を随時更新します。
 当HP編集長・二宮清純の携帯公式サイト「二宮清純.com」http://ninomiyaseijun.comへ携帯で(au、ドコモ、ソフトバンク)今すぐアクセス!