6日、JリーグはFW我那覇和樹(川崎フロンターレ)のドーピング問題について記者会見を行い、日本スポーツ仲裁機構(JSAA)ではなくスポーツ仲裁裁判所(CAS)であれば仲裁に合意するとの見解を発表した。
(写真:会見に出席した鬼武健二チェアマン)
 我那覇はこの4月、風邪と下痢の症状を訴え、前チームドクターに禁止薬物を含まないビタミン入り生理食塩水を点滴された。この行為に対し、Jリーグのドーピングコントロール委員会は「緊急性のない静脈注射であり、ドーピング禁止規定に違反する」という判断を下し、我那覇に6試合の出場停止、川崎に1000万の制裁金の処分を科していた。

 11月、処分の取り消しを求める前チームドクターがJSAAに仲裁を申し立てたが、Jリーグ側が合意せずに不成立。だが、処分を不服する我那覇が5日の練習後、武田社長らクラブ幹部に提訴する意思を伝えた。

 会見に出席した鬼武健二チェアマンは「ここまでの事態になった以上、最高水準の場で本質的な部分から徹底的に究明したい。しかるべき仲裁人をスイスから派遣してもらう」と語った。CASへの提訴となれば、Jリーグでは初。シドニー五輪の代表選考に関して競泳の千葉すずさんが日本水泳連盟を訴えて以来、日本で2例目となる。

<我那覇側はJSAAでの仲裁を臨む>

 同日、我那覇側の弁護士がJリーグ側にJSAAでの仲裁を望むことを伝えたと報道された。スイスのローザンヌに本部があるCASでは大きな費用がかかるためだという。

 我那覇側に先立って、鬼武チェアマンは「(CSAによる)サッカー界における国際水準における判定を希望する。我々はCSAにいかなければならない」と話し、我那覇側がJSAAに申し立てた場合は「(仲裁に合意する可能性は)ほぼないと今は考えている」と語っていた。意見が食い違う両者は歩み寄るのか、それとも決裂するのか。今後の展開が注目される。
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