北京五輪予選を兼ねた「アサヒスーパードライチャレンジアジア野球選手権2007」は1日、台湾・台中市インターコンチネンタル球場で決勝リーグがスタートした。初戦に臨んだ日本はフィリピンと対戦し、10−0と7回コールド勝ちをおさめた。
 課題は残ったが日本は予選突破へ向けて好発進をみせた。独特の緊張感の中で迎えた初回、日本は4番に座った新井貴浩(広島)の3塁打で先制点をたたき出すと、阿部慎之助(巨人)、村田修一(横浜)が連続タイムリーを放つ。日本はその後も打線がつながり、打者一巡で一挙5点を先行した。

 大事な先発マウンドを任されたのは涌井秀章(西武)。シーズン中とはやや異なり、ストレートでグイグイ押す投球でフィリピン打線を封じ込む。2回には三者連続三振を奪うなど、格の違いをみせた。

 ところが2回以降、日本はなかなか得点をあげられない。特に気になったのは2、3番の上位打線だ。井端弘和(中日)、青木宣親(東京ヤクルト)が早いテンポで投げ込む相手投手にタイミングを狂わされ、打たされるケースが目立った。毎回、得点圏にランナーを出しながら、あと一本が出ず、2回以降はゼロが並ぶ。

 重苦しい雰囲気を振り払ったのが、頼りになる男の一発だった。5回、先頭の稲葉篤紀が詰まりながらも内角球をうまく運ぶ。打球はグングン伸び、センターのフェンスを越えるソロ本塁打。日本は待望の追加点をあげた。

 これで楽になった日本は6回、既に3安打を放っている阿部がライト前ヒットで出塁。そこから村田、稲葉、大村三郎(千葉ロッテ)と4本のヒットが連なり、2点を加える。さらにチャンスで1番・西岡剛の放ったゴロがイレギュラーして外野へ抜ける幸運も重なり(記録はヒット)、日本はついに10−0と2ケタ得点を達成した。

 涌井は6回までフィリピン打線を1安打無失点、7三振を奪う内容で充分に先発の役割を果たした。7回は小林宏之(千葉ロッテ)が登板する余裕の継投。7回以降10点差でコールドゲームとの規定により、試合を7回で終わらせた。
 
 なお、開幕戦となった台湾−韓国戦は韓国が5−2で逆転勝ち。韓国は日本戦の登板が予想されていた左腕のリュ・ヒョンジンが先発し、スターター候補とみられていたバク・チャンホをリリーフでつぎこんで、初戦をモノにした。

 2日の日韓戦、日本の先発はダルビッシュ有(北海道日本ハム)とみられている。一方の韓国は台湾戦の投手起用でまったく先発がわからなくなった。井端が最終打席で死球を受け、途中交代した点も気にかかる。この日、そろって無安打だった井端、青木の上位打線が機能しないと、胃の痛くなるような試合になるかもしれない。

◇決勝リーグ(インターコンチネンタル球場)
フィリピン代表(1敗) 0 = 0000000
日本代表(1勝)    10 = 500014× (7回規定によりコールド)
勝利投手 涌井
敗戦投手 ロブレス
本塁打   (日)稲葉1号ソロ

韓国代表(1勝) 5 = 000030110
台湾代表(1敗) 2 = 100001000
勝利投手 リュ・ヒョンジン
敗戦投手 リン・オンユ
本塁打   (韓)イ・ジョンウク1号3ラン、パク・チンマン1号ソロ