6日、東京五輪・パラリンピック招致委員会は東京都内で第2回アスリート委員会を開催した。委員会には荒木田裕子招致委員会アスリート委員会委員長のほか、ロンドン五輪重量挙げ女子49キロ級銀メダリストの三宅宏実や北京五輪400メートルリレー銅メダリストの朝原宣治ら現役選手、元選手で構成された委員が出席し、招致に向けて意見交換などを行なった。委員会後の記者会見には、荒木田委員長、招致アンバサダーも兼ねている三宅が登壇し、今回の議題の要旨を語った。
(写真:会見に出席した荒木田委員長)
 招致活動に選手の意見を取り入れるために発足したアスリート委員会。2月末に第1回会合を開き、今回が2回目の開催だ。議題は、まず3月から4月にかけての評価委員会による開催候補都市の現地視察、5月30日からロシアで行なわれたスポーツアコードでの3都市のプレゼンテーションなどの情報交換をしたという。その上で、今後の指針など話し合った。

 会議は終了予定時刻を過ぎても、終わることはなかった。その中身について、アスリート委員の三宅は「内容が濃く、色んなことが凝縮されいた。9月7日まで、あと少し。できる範囲は限られてくるので、それぞれのアスリートが“なぜ東京でやるのか”“どうしたら東京で成功するのか”をひとりひとりが自覚することによって、色んな人たちにメッセージとして発信していければいいんじゃないかなと思いました」との感想を口にした。

 懸案事項のひとつである「なぜ東京か?」に対する答えについても、議題にあがったという。荒木田委員長は「招致委員会としては、“オリンピックムーブメントを世界でもっと発展させていくためには、東京だ”というところがあるんですが、我々(アスリート)は、それをそのまま伝えるのではなくて、自分の経験を基にして、自分の言葉で伝えるのが一番響く。型にはまった言い方ではなく、自分が噛み砕いたオリンピック・パラリンピック招致を発信するのがいいというのが、一番多い意見でした」と述べた。

「なぜ東京なのか?」という問いに対しては、一言ではまとめられない。それぞれの思いや意見がある。三宅は「いっぱいあるんですけど」と前置きした上で、こう続けた。「今、生きている人たちの記憶として残るもの。オリンピック・パラリンピックは、世界がひとつになれる祭典だと思う。そこで日本を世界にアピールできるチャンスになる。そのために生まれ変わる東京が見たい」
(写真:現役選手として招致活動に貢献する三宅)

 荒木田委員長は、東京の強みをこうアピールした。「多くのオリンピアン、パラリンピアンが頼まれてやっているのではなく、自分たちが動いていることです。一番大切なのは、アスリート・ファースト。自分たちの熱い思いを前面に出して、やっていくしかないと認識しています。(会議でも)“最後まで迷っているIOC委員がいたら、我々の熱い思いでその1票を獲りにいこうよ”という話になりました」。果たして、東京の思いは世界に届くのか――。最終決定まで、あと100日を切った20年夏季五輪・パラリンピックの招致レース。東京、マドリード、イスタンブールの開催都市争いは、9月7日のIOC総会で雌雄を決する。