【野村よ 勝てない原因はお前にもある】。随分、刺激的な見出しだ。6月6日付の東スポでカープOBの大下剛史が野村謙二郎監督に痛烈な批判を浴びせていた。

 そのうちの一部を紹介しよう。【今年で4年目を迎えた野村政権だが、行き詰まるポイントは毎年同じだ。新聞などで試合後のコメントを見ていても「あと1本が出ない」と同じ発言ばかり繰り返している。目先の勝負だけで言うなら「あと1本が出ていれば勝てた」という面はあるだろう。だが、現象には必ず理由がある。現在の借金9という窮地に至るまでの過程、準備に問題はなかったのか?】

 大下といえば野村の駒大の大先輩。カープではコーチと選手の関係だった。それだけに厳しいことも言えるのだろうが、目下、借金10を抱え、セ・リーグの最下位(6月5日現在)。幸い3位以下が“どんぐりの背比べ”のため、まだCS出場を諦める時期にはないが、それよりも気になるのは、ずっと問題視されている指揮官のチームマネジメント能力である。

 大下も指摘しているように、4年経っても、いっこうに指揮官としての成長の跡が見られない。「行き詰まるポイントは毎年同じ」なのだ。この4年で、指揮官の采配のどの部分が成長したのか、わかる人がいたら、誰か教えて欲しい。

 しかし、嘆いてばかりもいられない。カープの潜在能力を高く見積もる関係者は多く、新井宏昌打撃コーチ、石井琢朗内野守備・走塁コーチの指導技術は、他球団からも評価されている。このように、ひとつひとつのピースは決して悪くないのだ。要は、それをどう束ねるかだけなのだが……。

 (このコーナーは書籍編集者・上田哲之さんと交代で毎週木曜に更新します)


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