18日、ヤンキースの井川慶投手が本拠地、ヤンキースタジアムのクリーブランド・インディアンス戦で今季3度目の先発登板を果たした。井川は6回2失点の好投で試合はヤンキースが9−2と勝利。井川は念願のメジャー初白星を手中にした。
 5回7失点と散々な内容だったデビュー登板。それ以来となった本拠地のマウンドで井川はニューヨークのファンへ結果をみせた。

 井川は初回、2死からセンター前に詰まった当たりのポテンヒットを許すが、4番ライアン・ガルコを低目に沈むカーブで空振りの三振。無難な立ち上がりをみせる。2回もスライダーで7番デービッド・デルーチを見逃しの三振に仕留めるなど、この日の井川は変化球が冴えていた。

 ところが3回、2塁打と死球でピンチを招き、連続タイムリーで2点を失う。なおも1死1、2塁と走者を背負って、迎えるバッターは4番のガルゴ。1打席目に変化球で三振を奪ったバッターに対して、今度は内角の直球でセカンドゴロに打ち取る。二塁手ロビンソン・カノの好プレーもあり、併殺で追加点を許さなかった。

 これで波に乗ったヤンキースは直後にヒット7本の集中打で5点を奪って逆転に成功する。打線の援護を受けた井川は4回以降は危なげない投球。チェンジアップ、カーブ、スライダーの変化球に加え、中盤以降はストレートの比率を高め、インディアンス打線にチャンスを与えなかった。

 すると6回、アレックス・ロドリゲス、ジェーソン・ジアンビの連続アーチが飛び出し、ヤンキースは9−2とリードを広げる。勝利が確実になった井川は結局、6回を投げきって92球、被安打5、奪三振5の内容でマウンドを2番手投手に譲った。

 最終回、ヤンキース4番手のクリス・ブリトンが最後の打者をライトライナーにしとめた瞬間も記念すべき1勝をマークした井川は表情ひとつ変えなかった。チームメイトから祝福を受けて、ようやく笑顔をみせたが、「球数が多いのが課題」と一喜一憂することはなかった。

 ただ、ヤンキースはマイク・ムシーナ、カール・パバーノの両先発陣が故障者リスト(DL)入り。昨季19勝右腕の王建民、ジェフリー・カーステンズが近日中に復帰予定だが、投手陣は火の車の状態だ。とにもかくにも“30億左腕”の1勝はチームにとっても自身にとっても大きな白星になることは間違いない。

 好投の要因はなにより初球でストライクが取れたことに尽きる。デビュー登板では28人の打者に対して、初球にストライクが入ったのは11人。初球のストライク率は.393だった。それが今回は打者23人中19人に対してストライクを決め、率にして.826と高い数字を残している。ストライク先行の投球により、球数も6回で92球と大幅に減らすことができた。

 井川自身も1回の先頭打者へ初球のストライクが入ると防御率がいいという傾向がある。今回のような投球を続けていれば、打線の援護に恵まれないレッドソックス松坂大輔と勝ち星を競う展開になるだろう。

 井川の次回登板は24日、敵地でのタンパベイ・デビルレイズ戦で先発が予定されている。開幕がら打撃好調のデビルレイズ・岩村明憲との日本人対決に注目が集まる。なお、井川と岩村の日本での対戦成績は86打数25安打、打率.291、3本塁打、28三振。

 ジアンビ、逆転打&ダメ押し弾 
クリーブランド・インディアンス 2 = 002000000
ニューヨーク・ヤンキース    9 = 10500300×
勝利投手 井川(1勝0敗)
敗戦投手 ソワーズ(0勝1敗)
本塁打   (ヤ)ロドリゲス9号2ラン、ジアンビ4号ソロ

井川、喜びの声
 チームが勝ってよかった。今日はストライク先行で攻めていけたのがよかったが、ピッチング自体はまだまだ。球数が多いのが課題なので修正したい。ケガをしないよう次の登板からも頑張っていきたい。
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