昨年のGWは茨城、千葉、富山と、地方遠征に行っていました。
 その中の、千葉のthousandleavesとの試合は、1対20、どんな試合展開か覚えていないほどの大敗でした。「野球をやっていない」「屈辱以外のなにものでもない」監督・コーチにそう言われた次の日は、富山県で地元のクラブチームとの一戦。選手ひとりひとりが前日と同じにはさせないと思って臨んだ試合は、0対8で負けてしまいましたが、前日とは違った、引き締まったいい試合でした。コーチがその後のテレビ局の取材の中で「今までで一番いい試合をしたんじゃないかな。ナイスゲームでした」と言ってくれたことが、とても嬉しかったのを覚えています。チームの成長が見えた試合でした。
(写真:試合前のサイン確認)
 それからほぼ1年が経った4月7日、リーグ戦に出場しました。第1戦は初めて対戦する神奈川のウィンBC。
 1回表、三塁までランナーを進めるも、得点が入らず、逆に相手に先制点を取られます。
その後同点とし、試合が動いたのは7回表1アウトランナー一塁。バントをファウルにしてしまった8番永岡に出た指示はヒットエンドラン。高めの球を叩くと、広く開いていた三遊間を抜け、一、二塁。安藤コーチのどんぴしゃりの采配にベンチが沸きました。

 次の9番佐藤に出た指示はバント。ホームベースから1.5mほどサード方向のいい位置でボールが止まり、二、三塁。「次の打席でランナーを返して!」祈るような気持ちでいると、パスボールがキャッチャーのレガースにはじかれ一塁方向へ転がりました。その隙に三塁から突っ込んできたランナーを見て、ファーストがホームにトスをしましたが、そのボールはうしろに逸れ、三塁ランナーは生還。さらに二塁から永岡が三塁を一気に回って生還して3対1。「最近打撃不振だったから、このくらいちゃんとやらないと」こう言った佐藤のバントは、得点に大きく結びつきました。試合はそのまま逃げ切り、今季2勝目を挙げました。

 ところで、安藤コーチは、「安藤がおらへんかったらチームが成り立たん」と監督が絶大の信頼を寄せる、チームの大黒柱です。西武での現役時代は内野手でした。毎週、どんなに遠くてもどんなに時間が遅くても、必ず練習や試合に来てくれる、チーム一の野球人間です。

 試合後、満開の桜の下で安藤コーチから出た言葉は、1年ぶりの「ナイスゲーム」。昨年まで敗戦が続いていたチームには、1年間この言葉がかけられることはありませんでした。嬉しさとほっとするような気持ちがあふれました。
 今週は準決勝。勝てばダブルヘッダーでその日のうちに決勝です。ダブルヘッダーを見込んでのオーダーで準決勝を戦います。また「今までで一番いいゲームだった」と言ってもらえるような試合をしたいと思っています。



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広瀬明佳(ひろせ・さやか)
福島県郡山市出身。母がソフトボール、兄が野球をやっていたことから中学・高校時代ソフトボール部に所属。大学時代軟式野球サークル。前職での仕事をきっかけに初めて硬式野球の道へ。現在、埼玉県内の硬式野球クラブチームに所属。チームの紅一点として奮闘中!

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