先日は千葉マリンスタジアムへ千葉ロッテ−巨人の交流戦を観に行きました。試合は点の取り合いで12−11。巨人が逆転勝ちしました。国会議員になって、なかなかスポーツを生で観る機会がなかったのですが、やはりスタジアムに行かないと本当の興奮は味わえないものです。
(写真:千葉マリンスタジアム。ラッキーセブンのジェット風船飛ばし)
 今回、僕は3塁側のテラス席から観戦しました。一番圧倒されたのはライトスタンドのマリーンズファンの応援です。声と手拍子でスタジアムが1つになっていました。この感覚はドイツのサッカースタジアムで体験したものと通じる部分がありましたね。

 スタンド席を見下ろすと、家族連れや仕事帰りの方が本当に野球観戦を楽しんでいたのが印象的でした。イニング間のアトラクションでは、カメラに向かって一番アピールを続けた人に石垣島旅行が当たったり、お客さんを飽きさせない工夫が随所に散りばめられていました。

「また行ってみたいな」
 家路に着きながら、そんな思いに駆られました。スポーツはエンターテイメントです。ディズニーランドと同じでお客さんを“また行きたい”という気持ちにいかにさせるが大切だと考えます。マリーンズのファンサービスは、野球界でもトップクラスでしょう。野球のみならず、観客動員に悩む他のスポーツの関係者の皆さんもぜひ参考にしてほしいものです。

 さて、国会議員になって早いもので10カ月が経とうとしています。皆さんは、代議士というと議場で居眠りをしたり、夜に料亭で集まったり、といったイメージをお持ちかもしれません。僕も、この仕事を始めるまでは、皆さんと同じ感覚を持っていました。ただ、実際に議員として活動してみると、想像と異なる部分がたくさんありました。そこで今回は僕の一般的な1日のスケジュールをお伝えしたいと思います。

8:00 部門会議
 国会の朝は早くスタートします。まずは8時から部門会議と呼ばれる各省庁との意見交換会です。ここでは各省庁の担当者から現在、進めている政策や法案について説明を受け、議員側から質問、意見を出し合います。
 文部科学省、厚生労働省、国土交通省など省庁ごとに部門会議が開かれますが、どの会に出席するかは自由です。数日前に案内をいただいて、興味のあるものをピックアップして出ています。
 部門会議のよい点は、自分の所属している委員会や専門外の分野であっても出席し、質問をぶつけられるところです。今、政府では何がどう動いているのか。それを理解するためには、この朝の時間は欠かせません。まさに“早起きは三文の徳”という言葉がピッタリですね。

9:30 議員総会(本会議開催時)
 本会議が開催される時に、全議員が会派ごとに集まり、その日の議事や議案について打合が行われます。代表や幹部が前にズラッと並び、議員が1つの部屋に集まっている光景をテレビで見たことのある方も多いでしょう。採決が行われる場合は、その賛否についても確認します。通常は、何事もなく終わるのですが、党内で意見が割れている議案が出ると、発言を求める議員が出てくることもあります。

10:00 本会議or委員会
 本会議場へ入場できる時間は基本的に5分間。開始の5分前に予鈴が鳴り、議場の扉が開きます。それまでは中に入ることはできません。そして定刻になると本鈴が鳴り、扉が閉められます。特に採決を行う時には議場封鎖が行われ、議場への途中入出は一切禁止です。「ちょっとトイレに」というわけにもいきません。テレビでは居眠りする議員がよく映し出されますが、実際には議場内は厳粛な雰囲気で緊張感に満ちています。
 本会議が開かれない火曜日と木曜日は各委員会が開催されます。いずれも時間はまちまちです。30分で終わる日があるかと思えば、昼食休憩を挟んで夕方まで会が続くこともあります。

午後 各種勉強会、陳情
 本会議や委員会が終了すると、議員同士で実施している勉強会に出席したり、地元の自治体や各団体からの陳情にやってきた方への応対の時間です。陳情は多いときには5、6件。次から次へと人がやってきては陳情書を手渡されるので、あっという間に書類で机の上が埋まってしまいます。

18:00頃 会食を兼ねた勉強会
 18時を過ぎると、秘書の方も業務を終えて帰宅し始めます。しかし、議員がまっすぐ宿舎に帰れることはほとんどありません。たいてい夕食も兼ねて、先輩議員の方々をはじめ、いろんな方と勉強会や意見交換会を行います。
 先に書いたように、「議員の夜の会合=料亭」というイメージが強いのですが、実際はそうではありません。料亭に行けるのは一部の大物議員だけ。僕たち若手はサラリーマンの皆さんも集まるような居酒屋やレストランがほとんどです。予算は3,000〜4,000円といったところで、2時間飲み放題や食べ放題のコースもよく活用しています。議員になって外食が続き、僕は2、3キロ太りました。もうサッカー選手の面影はありませんね(涙)。

22:00頃 帰宅

 僕のような地方出身の国会議員は、週末は地元での予定が入っています。休日らしい休日はほとんどないため、体調管理は至上命題です。僕はまだ30代ですが、同じスケジュールをこなす60代、70代の議員の方は本当にタフだなと感心します。
 健康のポイントは1に睡眠、2に運動。どの議員の方も忙しい中、睡眠はしっかり取っているようです。僕も体が資本の現役時代と比べると減ったものの、5〜6時間は横になるよう心がけています。

 以上が基本的な1日の流れです。国会は道路財源法案の再議決により、与野党の対決はひと段落しました。「今国会は終わったも同然」。巷ではそんな声も聞かれます。しかし、前回も取り上げた後期高齢者医療制度など、僕たちが取り組まなくてはいけない問題は山積みです。

 現に与野党の議論は以前より活発になってきています。ガソリン税や道路特定財源の取り扱いを巡って両者が対決している際には、そのあおりで他の事案もほとんどがストップしていました。しかし、今は違います。後期高齢者医療制度の問題も日本の社会保障のあり方を含めた大きな枠組で話し合いができるようになりました。むしろ、メディアで与野党対決を大きく取り上げていた5月の始めに比べると慌しいくらいです。

 皆さんの暮らしをよりよくするために、1分1秒もムダにすることはできません。今国会は6月15日が会期末です。今の情勢ではロスタイムはなさそうですが、1つでも良い法案が通るよう、しっかり活動していきたいと思います。


友近聡朗(ともちか・としろう):参議院議員
 1975年4月24日、愛媛県出身。南宇和高時代は全国高校サッカー選手権大会で2年時にベスト8入りを果たす。早稲田大学を卒業後、単身ドイツへ。SVGゲッティンゲンなどでプレーし、地域に密着したサッカークラブに感動する。帰国後は愛媛FCの中心選手として活躍し、06年にはJ2昇格を達成した。この年限りで現役を引退。愛称はズーパー(独語でsuperの意)。07年夏の参院選愛媛選挙区に出馬し、初当選を果たした。
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※当HP編集長・二宮清純の携帯サイト「二宮清純.com」では友近議員の現役時代から随時、コラムを配信していました。こちらはサッカーの話題を中心に自らの思いを熱く綴ったスポーツコラムになっています。友近聡朗「Road to the Future」。あわせてお楽しみください。
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