人生にだって寿命というデッドラインがあるのだから、仕事にデッドラインがあるのは当然だ。ところが、この国では朝から晩まで仕事をしている人間がもてはやされ、模範的社員と言われたりする。<「時間をかけないと仕事の質が落ちる」というのは、単なる思い込みにすぎない>。著者はこう喝破する。
 デッドラインというくらいだから必ず具体的な締切日を設ける。著者によれば「今週中に」とか「来月までに」とか「なるべく早く」といったアバウトな言い方は絶対にしない。売上目標なら「9月末日までに何千万円」と期限を区切り、数値をはっきりさせる。悩む前に動け、ということだろう。

 著者は女性下着メーカー「トリンプ」を19年連続で増収増益に導いた経営のプロである。社長時代の口癖は「川があったら飛び込め」。仮に泳ぎきれなかったとしても水深や水温に関する情報は手に入る。しかし「慎重に検討」では何も得られない。

<判断のスピードが遅い企業は、様子を見ているうちに濁流に呑まれて脱落していくのが今の時代だ>と言い切る。経営者必読の一冊。
「デッドライン仕事術」(吉越浩一郎著・祥伝社新書・740円)

 2冊目は「杉山茂樹の史上最大サッカーランキング(杉山茂樹著・廣済堂出版・1900円)。 文字ばかり読んでいると飽きるが数字は飽きない。たとえば<J1スタジアム満杯率>のトップは? 新潟の91.3%が正解。では最低は? それは読んでのお楽しみ。

 3冊目は「『国語』入試の近現代史」(石川巧著・講談社・1500円)。 世はまさに入試の季節。答えのはっきり出る数学などと違い、国語に試験としての客観性はあるのか? 大正期から現代まで入試現代文を検証した分析には説得力がある。
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