IBLJは24日、福岡市内で記者会見を行い、来季から九州の2球団を加え、四国アイランドリーグを「四国・九州アイランドリーグ」として組織改編すると正式発表した。新たに加わるのは長崎県佐世保市に本拠地をおく「長崎セインツ」と、福岡県内で11月にも設立予定の新球団。これにより、来季は四国4県の各球団とあわせた計6チームによる運営となる。

▼巨人に敗れて全日程終了(フェニックス・リーグ)
 6球団で優勝を争う来季も、今季同様、前後期制が採用される。1月末までに各チームの陣容が決定し、開幕は3月末となる。全チームがホームアンドアウェーの総当り方式で年間80試合(各カード16試合ずつ)を戦う。四国内でのリーグ戦より移動等に時間がかかることもあり、各球団のゲーム数は今季より10試合減少する。また、チームの選手保有枠も現行の25名から30名に拡大される。

 長崎セインツは既にチーム運営を行っているものの、選手は11名のみ。そのため、今後は福岡の新球団とともにトライアウトなどで選手を獲得する。また既存の四国4球団との間で分配ドラフトも行われる予定だ。愛媛の浦川大輔投手、徳島の西村悟選手(いずれも福岡県出身)など、在籍選手の中には九州出身者がおり、各チームの顔ぶれが大きく変わる可能性も考えられる。

 長崎セインツの監督は南海で活躍し、ソフトバンクホークスのコーチも務めた河埜敬幸氏(愛媛県出身)。福岡はプロ経験者に監督を要請中で、球団名は県民から公募を行う。福岡球団設立に向けて、ひとつのハードルは使用球場の確保。福岡県はNPBの福岡ソフトバンクホークスが本拠を置き、大学野球では福岡六大学野球連盟、九州六大学連盟などがリーグ戦を行っている。高校野球県大会にも130校前後が参加するため、休日は福岡市内の球場が確保できない状態だという。リーグ関係者によると、北九州市を本拠地にし、県内を転戦する形になりそうだ。

 岡山、宮崎にも新球団設立、新規参入の動きがあり、IBLJでは将来的に西日本全体を巻き込んだ16チーム程度のリーグ構想を描いている。リーグのエクスパンションにより、新たなスポンサーの確保などビジネスチャンスは広がるだろう。地元に根ざした球団は、地域活性化に寄与する。なにより若い選手たちを育成する場を増やすことは、野球の底辺拡大につながる。

 ただ球団を増やせばチーム事情により、格差が生じる面は否定できない。現に高知球団は経営難で存続の危機を迎えた。経営面のみならず、戦力面での差が大きすぎれば、興行としての楽しみが半減する。ある球団の首脳陣からは「選手獲得や移籍などのルールが整備されないと、特定球団に戦力が偏る」との声も聞かれている。

 アイランドリーグでは各チームの分社化を実施し、各県が競争して独自性を発揮できる体制をつくってきた。地域密着の理念からも、この方向性は正しい。しかし、今回、新規参入球団に対して分配ドラフトを実施するように、共存共栄の思想もより重要になる。NPBの野球協約のような明文化した最低限のルールを設けるなどリーグの基盤整備は、その大切な作業のひとつだろう。基礎が軟弱な建物ではいずれ倒れてしまう。“競争”と“共存共栄”――2つの両輪をうまく回転させてはじめて、「四国・九州アイランドリーグ」は成功への道をまっすぐと進むはずだ。

<巨人に敗れ、最終戦飾れず 〜フェニックス・リーグ〜>

 24日、宮崎で行われているフェニックス・リーグに参加中の四国アイランドリーグ選抜チームが巨人と最終戦を行った。リーグ選抜は2回に先制を許し、6回には坂本勇人、三浦貴の連続タイムリーで2点を追加される。打線は最終回、梶田宙(高知)の犠飛による1点のみに抑えられ、1−3で敗れた。

 これでリーグ選抜はフェニックス・リーグの全日程を終了。通算成績は3勝8敗1分で参加14チーム12位だった。また、リーグ出身の深沢和帆(元香川)は前日の中日戦で先発しており、古巣対決は実現しなかった。

 巨人4投手の前に打線沈黙(清武町総合運動公園野球場、100人)
アイランドリーグ選抜 1 = 000000001
巨人           3 = 01000200×
[四] 浦川(愛)−渡邊(徳)−小山内(愛)
[巨] 東野−木村正−上野−越智

太陽石油はアイランドリーグのオフィシャルスポンサーです[/color][/size]