24日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦が埼玉スタジアムで行われ、Jリーグ1部の浦和レッズが2−2(トータルスコア4−4)で突入したPK戦の末に城南一和(韓国)を破り、日本のクラブとして初の大会決勝進出を果たした。

◇10月24日、埼玉ス
浦和レッズ 2−2【PK5−3】 城南一和(韓国)
【得点】
[浦和] ワシントン(21分)、長谷部誠(72分)
[城南] チェ・ソングク(56分)、キム・ドンヒョン(69分)
「どちらに勝利の女神がほほえむかはわずかな差だったと思う」
 オジェック監督の言葉がこのゲームの全てを表していた。

 120分を戦い抜いた激闘はPK戦にまでもつれこんだ。4人目を蹴り終えて、浦和が4−3でリード。浦和の5人目のキッカーMF平川が右上へ突き刺した瞬間、5万1651人の大観衆で埋め尽くされた埼玉スタジアムが激しく揺れた。興奮を抑えられない浦和の選手たちは、殊勲の平川の下へなだれこみ、決勝進出の喜びを表現した。

 出だしは快調だった。前半21分、鼻骨骨折でフェイスガードを着用して、この試合に臨んだFWワシントンがワールドクラスのプレーを見せる。MFポンテの左クロスを、右ももで絶妙なトラップ。相手DFを振り切ると、そのままPA右からバズーカのようなシュートを左隅へ叩き込んだ。エースのACL8戦目にして初ゴールは貴重な先制点。アウェーの城南を2点以上奪わなければいけない状況へ追い詰めた。

 しかし、その後は詰めを欠いた。先制点の直後、城南のエースFWイタマルに右サイドを突破されて、肝を冷やす場面も。1点リードで前半を折り返し、後半開始直後は試合を決定づける追加点を獲りにいったが、フィニッシュに精度を欠いた。7分には、右サイドからポンテがチャンスメイクをして、最後はDF闘莉王が強烈なミドルシュートを放つも、枠をそれた。

「あの時間帯(後半の序盤)で一番大切なのは追加点を奪いにいくことだった。しかし、攻撃の途中でラストパスがつながらなかったり、相手にボールを奪われていた。そこで生まれたギャップを、城南のようにクオリティの高いチームはしっかり突いてくる」(オジェック監督)

 2つの失点はともにカウンターから奪われた。後半10分、左サイドをイタマルに突破され、折り返しをFWチェ・ソングッに押し込まれて、1−1。同24分にも、勝ち越しゴールを奪うべく前がかりになったところを突かれ、途中出場のFWキム・ドンヒョンに頭で逆転ゴールを許した。2試合合計で3−4のビハインド。わずか15分で浦和は一転して、準決勝敗退の危機に追いこまれた。

 それでも、踏みとどまって見せたところが浦和の底力だ。わずか4分後、ゴール正面のポンテのFK、DF阿部が頭で折り返したところをMF長谷部が左足でネットを揺らした。2−2。その後は、後半終了間際に守備の要である闘莉王が負傷交代するアクシデントもあったが、城南の猛攻を耐えしのいだ。迎えたPK戦、守護神GK都築が城南2人目チェ・ソングッのシュートを弾き出して、平川の決勝PKにつなげた。

 負けてもおかしくはない試合だった。ホームの戦いながら、アウェーの城南に中盤を支配され、1対1の対応で後手に回った。「結果以外は、我々の思い通りにできたゲームだった」とはキム・ハッボム城南監督。シュート数こそ相手の約2倍の19本だったが、決定的な場面をいくつもつくられた。薄氷を踏むような戦いを執念でモノにした。 

 11月7、14日にホーム&アウェーで行われる決勝では、準々決勝で川崎フロンターレを破ったセパハン(イラン)との対戦が決まった。アジアの頂点を決める最終決戦は、12月に日本で開催されるクラブW杯の出場権をかけた戦いであれば、川崎のとむらい合戦でもある。

「浦和レッズとしてだけではなく、日本代表として決勝に臨む。日本代表の名に恥じない戦いをしたい」(オジェック監督)
 念願のアジア王者はもう目の前に迫っている。