気温も日に日に上昇し、スポーツには最適なシーズンがやってきました。先日は四国・九州アイランドリーグ、愛媛マンダリンパイレーツのホーム開幕戦を応援に坊っちゃんスタジアムへ足を運びました。1塁側にはオレンジ色の応援グッズを手にしたファンがたくさん集まり、盛り上がっていました。
 スポーツの世界とは対照的に、沈滞ムードが漂っているのが今の政治の世界です。特に民主党の小沢一郎代表の公設秘書が政治資金規正法違反の容疑で逮捕、起訴されて以降、ニュースで大きく取り上げられるのは代表の進退問題ばかり。国会で何が議題となり、どんな審議が行われているのか分からないという方も多いでしょう。

 ここで今回の起訴への僕なりの見解を述べておきます。まず法的に考えた場合、小沢代表側に問題はありません。政治団体からの献金は収支報告書にも記載されており、手続きは正規のものです。政治団体を隠れ蓑にした西松建設からのダミー献金だったとの指摘がありますが、もし、これを違法とするのであれば、他の国会議員に渡っている多くの献金もクロと判定しなくてはいけないでしょう。検察がそこまで徹底的に捜査するなら納得がいきますが、現状の取り調べは小沢代表サイドだけ。ある政府高官が「自民党議員に捜査は波及しない」と口を滑らせた通りのシナリオになっています。

 しかし、小沢代表には国民への説明責任があります。民主党は政権交代を旗印に掲げ、官僚政治、金権政治の打破を目指している政党です。なぜ、代表がそこまでのお金を集める必要があったのか。党のトップが古い政治体質から抜け出せていない印象を与えてしまったことは、大きな政治不信を招いています。「自民党と一緒じゃないのか?」。そんな疑問の声に代表自身は答えなくてはいけません。

「そもそも、政治活動にそんなにお金が必要なのか」
 そう疑問に思われている方も少なくないはずでしょう。お金がなければ政治ができないのであれば、議員はお金持ちしかなれません。誰でも政治に参加できるようなシステムづくりの必要性は強く感じています。ただ議員になって約1年半、現状では率直に言って「政治にはある程度のおカネがかかる」と認めざるを得ない部分があります。

 僕は無所属のため、企業からの献金、政党交付金は1円もいただいていません。主な活動費は毎月支払われる歳費(約130万円)と文章通信交通滞在費(100万円)とサポーターと呼んでいる後援会会員のみなさんのカンパです。議員活動をお手伝いしていただく秘書の方は3名まで国費で雇うことができます。往復の飛行機も月4回まではチケット代を負担することはありません。

 僕の場合、国会のある東京と地元の愛媛に事務所をそれぞれ設け、3人の秘書に加えて、愛媛事務所で1名の職員の方に業務をお願いしています。もちろん、この方の給与はこちらでお支払いする形です。こういった人件費や事務所の家賃には必要不可欠な経費になります。

 さらには活動報告を兼ねた後援会への会報もその都度、作成しています。こちらは活動をしていくうちに印刷枚数が増え、多い時で2000通程度、配布しています。会報の制作費や印刷代、郵送料も限られたお金の中でまかなっています。

 他にも地方での視察や、国会質問に向けた勉強やリサーチをすれば、その分、費用がかかります。これらの出ていくお金を積み重ねると、自分の歳費や貯金を切り崩さなければ、活動が充分に行えない状況です。妻に聞くと、残った歳費の中で家計はやりくりしているとのことでした。

 僕みたいな例は極端かもしれません。ただ、活動の幅を広げれば広げるほど、お手伝いしていただく職員の方も増え、諸経費は増します。政党に属すれば助成金が入るとはいえ、これは国民のみなさんの税金です。中には献金を廃止して助成金を増額する意見も出ていますが、みなさんの意思に関わらず、負担のみを増やすシステムは理解を得られないでしょう。

 冒頭のアイランドリーグの試合もそうですが、スポーツの世界では、選手やクラブを応援しようと観客ひとりひとりがチケットを買って応援します。声援を受けたスタジアムの選手たちは、結果を出すために全力でプレーします。本来なら国民と議員の関係もスポーツと一緒であることが理想です。いい政策を実現するために、みなさんのサポートを受けけつつ、議員が一生懸命活動する。このような体制をつくることが大切でしょう。

 そのためにも現在、議論に上がっている個人献金の充実は検討課題のひとつです。米国ではバラク・オバマ大統領がインターネット上でのオンライン献金により、選挙期間中で約640億円もの資金を集めました。日本でも同様の方式が認められれば、各議員は自分の信念や政策をより広くアピールしようとするでしょう。それは政治の活性化につながるはずです。

 もちろん個人献金にも問題点はあります。個人の名前を借りて、実際には企業や団体ぐるみで献金しているケースは西松建設の一件でも問題になったばかり。日本では議員がお金を集めること自体、みなさんから厳しい目で見られる現実があります。議員が国民から信頼されていないことの証です。

 スポーツでも観客から拍手をいただける選手、チームになるには、いいプレーをお見せすることが重要です。僕も含め、議員ひとりひとりが応援していただける存在になるにはどうすべきか。そのことを最優先に考えながら、国会というピッチを走っていきたいと思っています。


友近聡朗(ともちか・としろう):参議院議員
 1975年4月24日、愛媛県出身。南宇和高時代は全国高校サッカー選手権大会で2年時にベスト8入りを果たす。早稲田大学を卒業後、単身ドイツへ。SVGゲッティンゲンなどでプレーし、地域に密着したサッカークラブに感動する。帰国後は愛媛FCの中心選手として活躍し、06年にはJ2昇格を達成した。この年限りで現役を引退。愛称はズーパー(独語でsuperの意)。07年夏の参院選愛媛選挙区に出馬し、初当選を果たした。
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