今回、次の衆議院選挙に「国民の生活が第一」の公認候補として出馬することを決断しました。基本は愛媛県内での立候補を予定していますが、選挙区は未定です。ここまで参議院議員としての5年3カ月間、スポーツ基本法の制定をはじめとするスポーツ行政や、地域振興の取り組みを中心に活動を続けてきました。その間、野党から与党、そしてまた野党と立場は変わりましたが、「地域がそれぞれの光を放つことで、日本全体が虹色に輝く」との信念の下、精一杯走り抜いてきたつもりです。
 つい最近までは、この6年間の仕事ぶりを愛媛県民の皆さんに審判を仰ぎたく、来夏の参議院選挙に再選を目指して出馬する考えでいました。では、なぜ「近いうちに」と言われる解散総選挙に臨むことを決意したのか。それには次のような理由があります。

 きっかけは今回、僕が民主党を離れる大きな要因となった消費税の増税問題です。このコーナーでも繰り返し書いたように、消費税アップは僕が議席をいただいた2007年の参院選では皆さんにお約束していない事柄です。民主党中心の政権が誕生した09年の総選挙でも、消費税について触れられていませんでした。そうであるならば、法案を通す前に、まず国民の信を問うべき――これが僕の一貫した主張です。

 本来ならば順序が逆とは言え、衆議院選挙は少なくとも1年以内にやってきます。ただ、いざ選挙となった時、愛媛県や周辺の状況を見渡すと、増税に賛成した民主党、自民党、公明党の争いになっているのが現状です。これでは増税反対の意思表示をしようにも選択肢がほとんどありません。「国民に信を問うべき」といくら訴えても、「誰に投票しても同じ」なのであれば選挙をやる意味が薄れてしまうでしょう。そこで僕自身が皆さんの前に出ることで選択肢のひとつになろうと考えました。

 もちろん、来夏には参議院選挙がありますから、そこで考えを訴えることは十分、可能です。ただし、現憲法下では衆議院の優越が認められ、総理大臣も最終的には衆議院で選出された議員に決定します。普段の活動では衆参の違いはあまり感じないとはいえ、政権選択という根本部分では、やはり衆議院のほうが力を持っています。

「国民の生活が第一」では現時点での消費税増税を凍結し、身を斬る改革と社会保障制度の抜本的見直し、地域主権、脱原発依存などを軸とする党の基本政策をまとめています。自公民に対抗する勢力をつくり、何としても消費税アップに歯止めをかけるには、現行のシステム上、まず衆議院で議席を獲得していくことが求められるのです。

 僕たちのような存在が頑張ることで、次の衆院選の結果、どの党も単独過半数を獲れなければ、政権を樹立するために連立を組まなくてはなりません。そうすれば、より近い考えを持った政治家が集まり、政界再編が起きるでしょう。実際に国会へ入ってみると、今の自民党と民主党の違いはあいまいです。政治を前に進めるため、政界再編を行い、各党の方向性を明確にする必要性はますます高まっています。その観点からも、今回は衆議院で勝負すべきではないかと考えたのです。

 この決断は僕の中では非常に重いものでした。5年前に出馬を決意する時と同じくらい悩んだのが正直なところです。もし近々、解散があれば、6年間という任期を与えていただいた参議院議員としての仕事を途中で辞めざるを得ません。国民の皆さんが抱く“くら替え”への違和感は簡単には拭えないでしょう。しかし、5年間の国会生活で感じたこと、思ったことを踏まえつつ、今後の日本を考えた時、私利私欲ではなく、この険しい道を進もうと決心しました。

 振り返れば、現役選手として「愛媛にJリーグのクラブを!」と発信し始めた頃も賛同者は少なく、あまり見向きもされませんでした。現役を辞めて政治家への転身を表明した時も、「サッカー選手に何ができる」といった批判をたくさん受けました。

 ただ、自分の思いをひとりひとり丁寧に伝えていくことで、徐々にサポートの輪は広がっていきました。たとえ、いばらの道だったとしても、故郷にJクラブは誕生し、保守王国の中で国会議員にもなれました。「至誠通天」という僕の好きな言葉があります。まさに「誠を尽くせば、願いは天に通じる」。この2つの経験は僕の人生の中でもかけがえのないものになりました。ですから今回の衆院選出馬に関しても、なるべく多くの方とお会いし、誠心誠意、説明責任を果たしていきたい。それが何らかの道を拓くことにつながると信じています。

 もちろん、選挙までは参議院議員としての総仕上げのつもりで国会活動にも力を入れていきます。29日からは臨時国会がスタートしますから、委員会などでの質問機会も巡ってくるでしょう。前回、取り上げたスポーツ振興くじの改正も実現させなくてはなりません。メディアで取り上げられる政治ニュースは、どうしても政局絡みになってしまいがちですが、ひとつでもふたつでも実のある議論をして、国民の皆さんに問題提起できればと思っています。

 これからの1年、衆院選と参院選が1回ずつはやってきます。どの議員がどんな考えを持ち、何に取り組んでいるのか。1票を投じる上での参考材料として注目していただければうれしいです。
 

友近聡朗(ともちか・としろう):参議院議員
 1975年4月24日、愛媛県出身。南宇和高時代は全国高校サッカー選手権大会で2年時にベスト8入りを果たす。早稲田大学を卒業後、単身ドイツへ。SVGゲッティンゲンなどでプレーし、地域に密着したサッカークラブに感動する。帰国後は愛媛FCの中心選手として活躍し、06年にはJ2昇格を達成した。この年限りで現役を引退。愛称はズーパー(独語でsuperの意)。07年夏の参院選愛媛選挙区に出馬し、初当選を果たした。
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