17日、「2008北京五輪バレーボール世界最終予選」(女子)が東京体育館で開幕した。柳本晶一監督率いる全日本女子は、多彩な攻撃と粘り強い守備で強豪・ポーランドを3−1で下し、初戦を白星で飾った。
(写真:2大会連続出場を狙う柳本ジャパン)

日本 3−1 ポーランド
(25−20、27−25、19−25、25−17)
 昨日に続いて、今朝の練習も非公開とし、今大会にかける意気込みの強さを示した柳本ジャパンは、第1セットから気持ちを全面に出した積極的なプレーが続出。その姿からは初戦の固さはなく、ただ北京への執念だけがうかがえた。

(写真:チームを勢いづかせたWS高橋)
 独特の緊張感の中で始まった第1セット、最初にポイントを決めたのは不調と伝えられていたWS高橋みゆきだった。宮崎での直前合宿ではスタメンさえも危ぶまれていた高橋だったが、やはりこの大会にあわせてきたのはさすがだといえよう。高橋のレフト攻撃が次々と決まり、日本はいきなり4連続ポイントを奪った。さらに、守備力をいかしポーランドの強烈なスパイクを粘り強く拾ってつなげた日本。今大会のキーポイントと言われていたWS栗原恵とWS木村沙織のバックアタックなどがきれいに決まり、終始、優位に試合を進めた。途中、WS木村が相手サーブの標的にされ、サーブレシーブの乱れからリズムを崩された場面もあったが、ポーランドのミスにも助けられ、第1セットを5ポイント差で先取した。

 第2セットは序盤から一進一退の攻防戦となったが、MB荒木絵里香のブロックが効果的に決まり、27−25でなんとか凌ぎきった。
 ところが、少し気の緩みが出たのか、第3セットはスパイク、サーブでのミスが目立った。加えてポーランドが得意のブロックで日本の攻撃を封じるなど主導権を握られ、19−25でこのセットを落とした。

 迎えた第4セット、序盤は両チームともに一歩も譲らず、ポイントの奪い合いが続いた。しかし、我慢比べなら日本はどこにも負けない自信がある。多彩な攻撃で徐々に点差を広げていき、21−17と4ポイント差を奪った。そしてそこから一気に3連続ポイントを奪い、いよいよマッチポイントを迎えた。最後を決めたのは、WS高橋でもWS栗原でもMB荒木でもなかった。ピンチブロッカーとしてコートに入ったばかりのMB大村加奈子だった。ポーランドのアタッカーが思いっきり打ち抜いたスパイクを大村がきれいにブロックで止め、日本がセットカウント3−1で勝利した。

 第3セットを取られた日本だったが、試合内容には明らかに差があった。ライト、レフト、センター、さらには後ろからのバックアタックと多彩な攻撃を展開する日本に対して、ポーランドはブロックあるいはセンターの速攻は決まっていたものの、得点源のはずのサイド攻撃が決まらなかった。その原因は若きエースとして期待されているWSカタジナ・スコブロニスカの不調にあった。

「1週間前にケガをしたが、昨日までは高いレベルにもってこられていた。しかし、今日はよくなかった。これからもっといい状態にもっていかなければいけない」
 試合後の会見でのマルコ・ボニッタ監督の言葉だ。おそらく、試合が進むにつれてWSスコブロニスカは復調し始めるだろう。そうすれば、ポーランドは本来の強さを発揮してくるはずだ。
「最も手強いのは欧州勢2チーム。そのうちの1チームに勝てたことは、我々にとって非常に大きな意味をもつ」という柳本監督。初戦にポーランドを指名したことが、ズバリ的中したようだ。

 また、日本にとって大きかったのはWS栗原やWS木村のバックアタックが狙い通り有効活用できたことだ。例えば、これまで2段トスになった場合、レフト攻撃のみだったのがバックアタックが加わったことで、攻撃に厚みが増した。昨年11月のW杯から約半年、柳本ジャパンは確実にレベルアップしている。

「1本で泣くし、1本で笑う。(最終予選は)そういう試合なので、気持ちを込めてやっている」
 S竹下は試合後、そう語った。最終予選の厳しさを身を持って知るキャプテンの顔には油断もスキも全くなかった。まだ1勝。勝負はこれからである。
(写真:キャプテンとしてチームをまとめるS竹下)

 明日はプエルトリコと対戦する。世界ランキングこそ19位と格下だが、一度火をつけると怖い相手だ。第1セットから多彩な攻撃で翻弄し、早めに意気消沈させたい。

(写真・斎藤寿子)