23日、「バレーボール世界最終予選」(女子)が東京体育館で行なわれ、日本は第5戦で韓国と対戦。エース・WS栗原恵の活躍などで第1,2セットを連取した日本は、第3セットこそ奪われたものの第4セットは12点差もの大差で奪取。セットカウント3−1で韓国に勝利した。これで5戦全勝とした日本は、2試合を残して同じアジア勢4カ国(日本、韓国、カザフスタン、タイ)の最上位が決定。2大会連続となる五輪出場権を獲得した。北京では銅メダルに輝いたロス五輪以来、6大会ぶりのメダルを狙う。
(写真:北京への扉を開いた柳本ジャパン)

日本 3−1 韓国
(25-20、25-19、21-25、25-13)
(写真:エースの役割を果たしたWS栗原)
 勝てば北京への扉が開く大事な一戦。日本は第1セットの序盤、なかなか波に乗り切ることができなかった。しかし、韓国リードで迎えた1度目のテクニカルタイムアウト後、WS栗原恵のバックアタックが炸裂。韓国のミスにも重なり、最後はMB荒木絵里香のクイックで第1セットを日本が先取した。

 第2セットもエースが大活躍。7−7から何とサーブ、バックアタックでWS栗原一人で5連続ポイントを奪った。これで勢いに乗った日本は、さらに得点を重ね、25−19の大差で連取。いよいよ北京が見えてきた。

 しかし、そう簡単には勝たせてもらえなかった。第3セット、日本は3−0と幸先のよいスタートを切ったものの、MBキム・セヨンのサーブでレシーブを崩され、逆転を許してしまう。MB杉山祥子の移動攻撃などで応戦するも、韓国は17歳のエース・WSペ・ユナや、今大会好調のWSキム・ミンジが次々とスパイクを決め、このセットを奪い返した。

「自分たちの力を信じなさい」
 柳本晶一監督にそう檄を飛ばされた日本は、第4セット、序盤から多彩な攻撃を展開。それに圧倒されたのか、韓国は徐々にミスが目立ち始めた。最後まで集中力を切らさなかった日本。徐々にリードを広げていき、いよいよマッチポイントを迎えた。

 スタンドから日本コールが鳴り響く中、最後を決めたのは主力として柳本ジャパンを支え続けてきたWS高橋みゆきだった。ボールがレフトの高橋に上がった瞬間、強打が来ると身構える韓国選手。だが、高橋が打ったのは意表を突いたフェイントだった。ポーンと優しく押し込まれたボールが、ぽっかり空いたスペースに落ちた瞬間、日本の2大会連続での五輪出場が決定した。
(写真:マッチポイントを決め、喜びを爆発させるWS高橋)

 だが、柳本ジャパンのメンバーに浮かれた表情は一切なかった。その代表格がエースの栗原だった。勝利の瞬間、笑顔がはじけた柳本ジャパンの中で、栗原だけはほとんど表情を変えなかった。
「目標は五輪に出場することではない。五輪でメダルを獲ること」
 かねてからそう語るように、今日の勝利はメダルへの第一歩を踏み出したにすぎない。

(写真:五輪出場決定も冷静さを失わないS竹下)
 4年間、キャプテンとしてチームを牽引してきた竹下は試合後の会見で次のように述べた。
「4年前は監督、(前キャプテンの)吉原知子さんに必死でついていっただけだった。でも、今回は自分自身が先頭に立って突っ走っていかなければならなかった。プレッシャーはあったが、選手がみんな一人ひとり、いいモチベーションで臨み、チーム一丸となって戦えた。
 W杯までは消極的になってしまう選手もいたので、失敗してもう一度上げるということは難しかった。でも今回は苦しい状況でも、一人ひとりが全く引くことがなかった。役割分担もしっかりできていたし、全員が技術的にも精神的にもいい状態だったので、リピートしやすかった。
 今日の勝利でようやく北京へのスタートラインに立てた。残り2試合は先にもう一歩踏み出せる試合となるように、もう一度、一丸となって戦っていきたい」

 最終予選も残り2試合。明日24日にはタイと、そして最終日の25日には強豪・セルビアと対戦する。今後の1試合、1試合が北京でのメダル獲得への道のりとなる。果たしてセルビアを倒し、最終予選での有終の美を飾ることができるか。柳本ジャパンの挑戦はこれからがいよいよ本番となる。

(写真・斎藤寿子)