27日、サッカー日本代表はキリンカップサッカー2008でパラグアイ代表と埼玉スタジアムで対戦した。セルティックで活躍する中村俊輔が先発出場した日本は、前半を中心に見せ場こそつくったものの得点が奪えず、試合は引き分けに終わった。

 俊輔、フル出場も得点ならず(日本・埼玉)
日本代表 0−0 パラグアイ代表
「何回かチャンスはあったけど、決められなかった」
 試合後の岡田武史監督のコメントは、日本代表の試合でいつも聞かれる内容だった。引いて守ってきた相手をどう崩すか。6月のW杯3次予選で激突する中東勢(オマーン、バーレーン)の仮想敵として設定したパラグアイ相手に、日本はゴールをこじ開けることができなかった。

 岡田監督は24日のコートジボワール戦からスタメンを大きく変えてきた。岡田ジャパン初招集のMF中村俊輔(セルティック)が右サイドでスタメン出場。センターバックには中澤佑二(横浜FM)に代わって、代表初出場となる寺田周平(川崎)が入った。ワントップで巻誠一郎(千葉)、トップ下には山瀬功治(横浜FM)という布陣を敷き、24日の試合から7選手を入れ替えた。左サイドバックでいい動きをみせた長友佑都(FC東京)は2試合連続のスタメン入りを果たした。

 試合は立ち上がりから日本がチャンスを迎える。
 前半5分、相手陣内で山瀬、MF中村憲剛(川崎)、巻とワンタッチでパスをつなぎ、最後は左サイドから巻が低く鋭いクロスを入れる。これに合わせてゴール前に詰めていた山瀬がシュートを放とうとするが、うまくヒットせず、日本は先制機を逃した。

 その後も中村俊は、左サイドへ駆け上がった長友へ正確なパスを供給したり、左からゴール右前のDF田中マルクス闘莉王(浦和)へクロスをあげるなど、チャンスを演出する。左足の違和感を訴え、状態が心配されたが、「(試合を)やったほうがほぐれると思った」と試合終了までプレーした。

 ゴールへの期待が高まった立ち上がりを過ぎると、徐々にパラグアイもW杯南米予選首位の底力を発揮し、押し戻す。40分にはコーナーキックのこぼれ球をDFべロンがシュート。ボールはバーの上を越えたが、危ない場面だった。

 対する日本も前半終了間際、ペナルティエリアの外でボールを受けた中村憲がゴール左隅へミドルシュートを放つ。下がり気味になった相手ディフェンスラインを突いた攻撃だったが、相手GKに惜しくもはじきだされ、無得点のまま試合を折り返した。

「(選手の)組み合わせが悪く、なかなかディフェンスラインの裏に出る選手がいなかった。ボールキープしてもシュートへ持ち込めない」
 岡田監督は後半から、MF松井大輔(サンテティエンヌ)を投入。松井はドリブルで相手陣内深くへ切り込むなど、コートジボワール戦同様、攻撃の起点となった。「松井が入って、ちょっと(攻撃が)よくなった」と指揮官も、そのプレーを評価したが、パラグアイのディフェンスラインを崩すには至らなかった。

 逆に後半19分、セットプレーで日本は冷や汗をかく。相手DFのヌニェスの強烈なフリーキック。GK楢崎正剛(名古屋)が身を挺して止めたが、詰めていたE・ゴンサレスがゴール右からシュート。これもバー上に浮いて、失点はまぬがれた。

 日本は、MF長谷部誠(ヴォルフスブルク)、FW高原直泰(浦和)、FW大久保嘉人(神戸)らを次々とピッチに入れ、局面の打開を図る。「前半はまぁまぁ。後半は連係がうまくいかなかった。その人の発想だけでやってしまった」。中村俊がそう試合を振り返ったように、フレッシュな人材を送り込んでも、それが決定機には結びつかず、時間はどんどん過ぎていった。

 試合終了間際には、長谷部が下がりきったDFラインの手前に、ボールをタイミングよく入れたものの、大久保がコントロールしきれず、チャンスを逃す。その後のFKでも、中村俊が左足で高いボールをゴール前に蹴り込んだが、相手GKにパンチングでクリアされた。

 試合はこのままスコアレスで終了。日本はキリンカップの2試合を1勝1分で終え、昨年に続く優勝を果たした。もちろん、このキリンカップはあくまでも通過点に過ぎない。「(予選まで)時間がない。できるだけ(みんなと)話をしてイメージを合わせてやっていきたい」。中村俊は予選への課題を口にした。2日の本番(対オマーン戦)までは残り6日を切っている。

<日本代表出場メンバー>
GK
楢崎正剛
DF
寺田周平
田中マルクス闘莉王
阿部勇樹
→駒野友一(69分)
長友佑都
MF
遠藤保仁
→松井大輔(HT)
山瀬功治
→大久保嘉人(77分)
中村俊輔
鈴木啓太
→長谷部誠(63分)
中村憲剛
→今野泰幸(85分)
FW
巻誠一郎
→高原直泰(63分)