北京五輪代表選考会を兼ねた陸上の第92回日本選手権が6月26日、川崎市等々力陸上競技場で開幕した。男子1万メートル決勝では、参加標準記録Aを突破している松宮隆行(コニカミノルタ)が27分51秒27で優勝し、トラック種目での北京五輪代表内定第1号となった。松宮はこの種目で3連覇を果たした。
 女子ハンマー投げ決勝は室伏由佳(ミズノ)が62メートル98で3年ぶり3度目の優勝を果たしたが、参加標準記録Bにも届かず、この種目での五輪代表はならなかった。
(写真:男子1万メートル決勝で優勝し、北京五輪トラック種目内定第1号となった松宮選手)
 女子やり投げ決勝は、海老原有希(スズキ)が標準記録Bを突破する56メートル71で2年ぶり2度目の優勝を果たした。同棒高跳び決勝は我孫子智美(同志社大)が4メートル10で初優勝。標準記録Bを破っている近藤高代(長谷川体育施設)、錦織育子(出雲市陸協)はいずれも4メートル10に3回失敗し記録なし、中野真実(今治造船)も4メートル10をパスして挑んだ4メートル15を跳べず、記録4メートルで2位となった。
  女子三段跳び決勝は、吉田文代(中大レディース)が13メートル12で4連覇を果たしたが、標準記録突破はならなかった。

 このほか、男子200メートルの末続慎吾(ミズノ)は、予選第3組で20秒67を出し順当に決勝に駒を進めた。男子400メートル障害の為末大(APF)と成迫健児(ミズノ)も、各組1位となり危なげなく決勝進出を決めた。
 男子十種競技は前半の5種目を終え、池田大介(日大)が3827点で首位。5連覇と北京五輪代表入りの期待がかかる田中宏昌(モンテローザ)は3751点で3位につけた。
 同じく前半が行われた女子七種競技は、7連覇がかかる中田有紀(日本保育サービス)が3181点でトップに立った。
(写真:男子400メートル障害でただ一人50秒を切る49秒99で決勝進出を決めた成迫選手)



 鮮やかロングスパート、松宮がトラック内定第1号
 
 この日の最終種目、男子1万メートル決勝は、5月に標準記録A(27分50秒)を突破している松宮が再び標準Aに迫る27分51秒27で制し、トラック種目での北京五輪代表内定第1号となった。
「A標準を切っているので優勝すれば北京代表に決まる。落ち着いて行こうと思った」
 その言葉どおり、序盤はトップ集団の様子を見ながら8番手前後につける落ち着いた走り。残り4周を切って前に出ると8500メートル地点でスピードを切り替え、一気に後続を引き離した。鮮やかなロングスパートで3連覇とともに、初の五輪切符を手にした。
「ラスト2000メートルからの勝負だと思っていた。自分の体の状態から逆算して、ラスト1500メートルならギリギリいけるかなと。きつかったが、このまま行くしかないと頑張った。狙いどおりのレースだったが、プレッシャーがあったのでうまくいくか分からなかった。オリンピックに行きたい、という気持ちでスパートした」
 レース後にはこう振り返った松宮。この種目で3連覇という快挙も同時に達成したが、「3連覇も嬉しいが、北京を目指してきたので代表に決まったことが言葉にならないくらいに嬉しい」と笑顔を見せた。
 5千メートルに出場した昨夏の世界選手権は予選落ちに終わっているだけに「北京で借りを返したい。出るだけでは意味がないと思っている。少し長くでも勝負できるように頑張りたい。目標は10位以内、チャンスがあれば8位以内を狙いたい」と力強く語った。
 松宮は最終日の29日に行われる5千メートルにも出場予定。1万メートルとの2種目3連覇がかかる。