21日、サッカーU-22日本代表は北京五輪最終予選第6戦でU-22サウジアラビア代表と戦い、0−0で引き分けて、3勝2分1敗の勝ち点11のグループ首位として4大会連続8回目の五輪出場を決めた。

◇11月21日、国立競技場
U-22日本代表 0−0 U-22サウジアラビア代表
 固く閉ざされていた北京への扉が音を立てて開いた。

「本当に苦しい予選でした。でも、これで北京へ行けます!」
 反町監督の喜びの声が聖地・国立競技場へこだまする。次の瞬間、選手たちは反町監督に水を浴びせかけ、北京五輪出場の喜びを分かち合った。

 引き分け以上で北京五輪出場が決まるゲームだった。日本のシステムは3−5−2で、第5節のベトナム戦と同じFW李とFW岡崎の2トップ。ダブルボランチには守備力のあるMF青山敏、MF細貝が入った。サウジアラビアの身体能力の高いFWアウサハラウィとFWアルサレムの2トップを警戒しての3バックだった。

 勝たなくては五輪切符が手に入らないサウジアラビアに序盤は圧倒された。前半8分、アルサレムのPA左からのシュートをGK西川がはじくと、こぼれ球にMFアル・ガナムが詰める。至近距離からのシュートはゴールライン際で何とか体で止めて、九死に一生を得た。

 その後も球際で競り負け、なかなかリズムをつかむことができない。「スペースが少なく、サイドののスペースを起点とするしかなかった」(反町監督)。プレスを嫌って、サイドのスペースへロングボールを放り込むも、フィニッシュまではつながらなかった。

 日本がようやく攻め手を見出したのは、前半も終わりに近づいてから。41分には、MF本田圭のダイレクトクロスをFW李がフィニッシュへ持ち込む。後半に入ると、一方的に主導権を握った。この日、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたMF柏木を中心に幾度となくサウジアラビアのゴールに迫った。

 チャンスこそモノにできなかったが、3バックを中心とした堅守が最後までゴールを許さなかった。終了間際、無理やりにゴールをもぎとろうとするサウジアラビアのパワープレーを耐え抜いた。ロスタイム2分が経過し、GK西川がゴールキックを空高く蹴り上げると、終戦の笛が鳴った。

 試合後、反町監督は最後まで集中力を失わなかったチームを称えた。「最終ラインを含め、ゴール前の不用意なファウルもなく、人にもスペースにもよく対応できていた」と話し、後半ロスタイムに逆転弾を浴びた第3戦を例にあげて「最後の10分間の守り方に選手の成長が表れていた。ドーハの悲劇があったからこそ成長したのだと思う。後半、相手が3トップできた時も、私が何か言わなくても対応できていた。水本を中心とした守備の選手は少しずつ、たくましくなっている」と語った。

 一方で、勝って兜の緒を締めることも忘れなかった。「五輪まで課題は多い。今の世代はクラブで出場時間を得られていない。それでは、試合勘はもちろん、90分戦い抜く体力できない。せいぜい70分で力がなくなってしまう。所属クラブでフルで出るようになってほしい」と選手への宿題を口にした。

 そして、この勝利は何よりも病床のオシム監督に届いたことだろう。同監督率いるA代表は7月のアジア杯でサウジアラビアの前に苦杯をなめた。A代表と五輪代表の違いこそあれ、因縁の国の目の前で五輪出場を決められたのは、何よりの報告になる。

 来年8月の北京五輪は、日本を含めた最終予選を通過した15チームとホスト国の中国が出場する。反町監督は「『五輪は参加することが意味がある』というのは日本人の悪い体質。メダルを目指す」と3強入りを宣言した。戦いはまだ始まったばかりだ。

◇日本代表出場選手

GK
西川周作
DF
青山直晃
水本裕貴
細貝萌
伊野波雅彦
MF
青山敏弘
水野晃樹
本田圭佑
柏木陽介
FW
李忠成
岡崎慎司