19日、日本サッカー協会(JFA)はJFAハウスで記者会見を行い、急性脳梗塞で順天堂大学浦安病院に入院しているイビチャ・オシム日本代表監督の現況について、田嶋幸三専務理事が家族と医師団の合意の下に「第一の大きなヤマ場を乗り越えた。予断を許さぬ状況だが、回復に向かって前進している」と前向きな声明を発表した。
(写真:オシム監督の病状を報告する田嶋幸三専務理事)
 田嶋理事は続けて、アシマ夫人の「今日(19日)は夫との結婚記念日です。その日に夫が第一のヤマ場を乗り越え、回復に向けて前進したことを喜んでいます」という声明を発表。田嶋理事が昨日購入した記念の赤ワインを贈ると、アシマさんは「(オシム監督のことで頭がいっぱいで)実は結婚記念日のことを忘れていたのよ。昨日、長女のイルマから結婚記念日であることを教えてもらったの」と明かし、ワインを喜んで受け取ったという。

 田嶋理事は「3人の家族は千田通訳を伴って、オシム監督の入院以来、初めて外食した。これまでは病院でパンをつまむぐらいだったが、遅い昼食を外でとった」と家族に明るい空気が漂い始めていることも伝えた。その一方で、オシム監督の病状について「一つの大きなヤマは乗り越えたが、まだ多くのヤマが残っている。意識はない。あえて、そういう状態にしてある。集中治療室を出るメドはたっていない。医師団も恐らくわからないと思う」と依然として予断を許さぬ状況であることを強調した。

 また、浦安病院の近くのホテルに宿泊し、医師団と家族の間で通訳をしている千田善氏に関して「(千田氏の体力が)今のままでは厳しい」としながらも、通訳の増員には「もう1人(通訳ができる)女性がいるが、その人も仕事がある。それに、よほど家族が信頼を置ける人物でないと、通訳を任せられない。むやみに通訳を増やせない」と慎重な姿勢を示した。

 12月中旬の短期合宿など日本代表のスケジュールについては「(オシム監督が)元気な時に、この合宿についてどうするかを話していたと聞いている。年内の活動はスタッフである程度対応できる」とコメント。早期復帰が難しいとされるオシム監督の後任人事に関しては「私も川淵キャプテンも、今はオシムさんが回復することだけを第一に考えている。すぐに切り換えるというのは難しい」と明言を避けた。