14日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦が埼玉スタジアムで行われ、浦和レッズが2−0(トータルスコア3−1)でセパハン(イラン)を破り、日本勢として初の大会優勝を果たした。

◇11月14日、埼玉ス
浦和レッズ 2−0 セパハン
【得点】
[浦] 永井雄一郎(22分)、阿部勇樹(70分)
 待ち焦がれた瞬間だった。負傷欠場のMF山田に代わってキャプテンマークを巻いたMF鈴木が高々とチャンピオントロフィーを掲げると、銀色の紙吹雪が空を舞った。

 勝負どころを抑えて、イランからの刺客を粉砕した。
 試合開始早々からパスミスが多発し、波に乗れなかったが、22分、MFポンテのスルーパスをラインぎりぎりで受けたFW永井がPA右から、GKの手をはじく強烈なシュートを突き刺して先制した。ワンチャンスを逃さない永井の大会8試合ぶりのゴールで、アジアの頂点がグッと近づいた。

 攻撃陣が決定的な仕事をこなせば、今季J1最少26失点を誇る守備陣も粘り強く守った。後半、ゴールを奪うべく3トップにシステムを変えたセパハンにサイドから幾度となく攻めこまれたが、故障から復帰した闘莉王を中心にはねかえした。大会新記録の5万9034人の大観衆が、ACLとリーグ戦の過密日程で疲労の溜まった選手の背中を押した。

 そして、後半25分、攻め疲れた相手の一瞬の隙を見逃さなかった。闘莉王の左クロスをPAでFWワシントンが落とし、永井が右足で狙う。GKがはじいたところをMF阿部が押し込んだ。流れるような攻めで試合を決定付ける2点目を挙げた。

 あとは、自慢の守備陣がバトンを受け取った。後半35分には、司令塔のMFポンテに代えてMF内舘を投入して守備固めをすると、そのまま逃げきってタイムアップ。大会初の無敗優勝という花をそえて、浦和が日本勢初のアジア王者に輝いた。G大阪や横浜といったライバルがこれまで突破できずにいたACL1次リーグの壁を大会初出場で乗り越えると、そのままアジアの頂点へかけあがった。

 大会MVPには2ゴールにからんだ永井が輝いたが、堅守あってこその優勝だった。ホルガー・オジェック監督は「個々の表彰は大会の主催者が考えたもの。守備陣もゴールを奪うことと同じくらいによく頑張ってくれた。相手が後半に3トップできたが、そこまで影響はなかった」とディフェンスを高く評価。セパハンのルカ・ボナチッチ監督は「浦和はクオリティが高く、ゴールを奪うのは簡単ではなかった」と兜を脱いだ。

 浦和は12月に日本で行われるクラブW杯にアジア代表として初出場。12月10日に豊田スタジアムで開催される準々決勝で、開催国枠で出場するセパハンとオセアニア代表のワイタケレ・ユナイテッド(ニュージーランド)の勝者と戦う。そして、準決勝では欧州王者のACミラン(イタリア)が待つ。

「再びセパハンと戦うことになるかもしれないが、準決勝でミランと戦えるように頑張りたい。それは日本サッカーにとって重要なことです」(オジェック監督)
 アジアの頂きから世界の背中が見えている。