11日に行われた競泳男子100メートル平泳ぎ決勝でアテネ大会覇者の北島康介(日本コカ・コーラ)が58秒91の世界新記録で優勝した。同種目で連覇を達成したのは史上初。北島は200メートルとの2冠連覇に向けて、まずは1つ目の金メダルを獲得した。
 うれし涙で声がでなかった。「記録も優勝もできたのでうれしいです」。ようやく発した言葉には名実ともに世界一の座を守りきった喜びがあふれていた。最初の50メートルから北島は先頭でレースを引っ張る。しかし、ターンの直前でライバルのブレンダン・ハンセン(米国)らに並ばれ、逆に50メートルの時点では3位でレースを折り返す。

 しかし、そこからが落ち着いていた。ターン後の伸びでトップを奪い返すと、頭ひとつ抜け出す。後は他を寄せ付けることなく、リードを保って、真っ先にゴール板にタッチした。タイムは従来の世界記録を0秒21上回り、人類初の58秒台に到達した。

「アテネのとき以上に気持ちいい。チョー気持ちいい」
 レース後は前回大会を制した際に発した名セリフを、再び繰り返した。
「200もあるので頑張ります」
 五輪通算4個目の金メダルへ――。北島は休む間もなく12日夜の200メートル予選に臨む。

 なお、2位には予選、準決勝をともに1位で通過したアレクサンドル・ダーレオーエン(オランダ)、3位にはユーグ・デュボス(フランス)が入った。北島との金メダル争いが予想されたハンセンは4位に沈んだ。

<女子100背は中村と伊藤がそろって決勝進出>

 女子100メートル背泳ぎ準決勝では中村礼子(東京SC)が59秒64と全体の3位の記録で12日に行われる決勝進出を決めた。「予選のときより(タイムが)落ちてしまった。力んでしまった」と本人は反省していたが、「とにかく自信を持って、覚悟を決めて泳ぎたい」と決勝への決意を新たにしていた。中村と同じ1組で泳いだ伊藤華英(セントラルスポーツ)も1分0秒13で全体の7位に入り、12日の決勝に臨む。また、2組のカースティ・コベントリー(ジンバブエ)が58秒77の世界新記録をマークした。

 背泳ぎでは男子も宮下純一(ホリプロ)が53秒69の日本新記録で決勝に進出。しかし、前回銅メダルの森田智己(セントラルスポーツ)は全体10位のタイムで予選落ちした。男子200メートル自由形準決勝では第2組に登場した奥村幸大(イトマンSS)が1分46秒44の日本新記録で決勝へ。女子100メートル平泳ぎ準決勝に出場した北川麻美(スウィン大宮)も1分8秒23で全体の8位に滑り込み、決勝進出を決めた。

 夜に行われた女子200メートル自由形予選では、上田春佳(東京SC)が1分57秒64の日本新記録で全体の8番目のタイムで準決勝進出を決めた。
 上田は「アップから調子が良かったので緊張しないで自分の泳ぎをしようと思った。同じチームの北島さん、中村礼子さんが素晴らしい泳ぎだったので自分も頑張ろうと。決勝にいきたい」と笑顔で話した。
 三田真希(KONAMI西日本)は1分59秒96で予選落ちに終わった。

 男子200メートルバタフライ予選では松田丈志(ミズノ)が1分55秒06の全体の4番目のタイムで準決勝進出を決めた。「(結果は)だいたい予定どおり。(バタフライ種目が)やっと始まったなというかんじ。自分の記録をもっと上げたい」と準決勝、決勝へ意欲を見せた。
 同じく柴田隆一(チームアリーナ)も1分55秒82の全体の11番目のタイムで準決勝進出を決めた。

 女子200メートル個人メドレー予選では、100メートル平泳ぎで決勝進出を決めている北川が後半に追い上げ、2分12秒47の日本記録を樹立し、準決勝進出を決めた。