大麻を巡る問題で3名のロシア人力士が解雇処分を受けた大相撲。日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)は辞任に追い込まれ、武蔵川(元横綱・三重ノ海)新体制がスタートした。不祥事が続く角界の構造改革は待ったなし。中でも文部科学省から要望された外部理事の登用は9月中にも実施される見込みだ。外からの風を取り入れ、大相撲は生まれ変わることができるのか。協会の再発防止検討委員会の外部委員やくみつる氏と当HP編集長の二宮清純が『週刊金曜日』誌上で対談を行った。
 対談の中で、やく氏は現状での外部理事の導入に反対を表明。「外部理事を入れたところで何ができるのか。一門の利益代表が集まっているような今の理事会で、外部理事が本当に機能するのか。外部理事の導入が“見せかけの改革”として、うまく利用されるのでは」との懸念を示した。

 対して二宮はその危険性を認めた上で、「何もアクションを起こさないで大相撲が生き残れるとは思えない」と外部理事を最大3名と限らず、積極的に受け入れるよう主張した。また「登用した外部理事にどのくらいの権限を持たせるかが改革への意欲をはかるひとつの指標になる」と述べた。

 さらには今回の外部理事登用が所管官庁である文部科学省の要望である点を指摘。「穿った見方をすれば、文科省は外部理事へ息のかかった人間を送り込みたいのではないか」と協会が“新しい天下り先”になることを不安視した。

 外部理事の条件としては「しがらみがない」ことを第一にあげ、「今、名前が挙がっている人たちではちょっと物足りない」と人選の再考を訴えた。「北の湖理事長は“土俵の充実”と繰り返すだけだったが、決して土俵の中がおもしろくないわけではない。問題は土俵の外にある。北の湖時代の“失われた6年半”を取り戻すには、相当の覚悟と決意が必要」。武蔵川新理事長に変革への強いリーダーシップを求める点では、両者の意見が一致した。

 その後、両者の対談は薬物問題からお騒がせ横綱の朝青龍、相撲と日本社会の関係に至るまで、さらにヒートアップ。詳しい内容は08年9月26日発売『週刊金曜日』に掲載予定です。どうぞお楽しみに。