浦和にとっては試練の一戦となるだろう。10日、アジア代表の浦和レッズは、1回戦でオセアニア代表のワイタケレ・ユナイテッドを破ったセパハン(イラン)と準決勝進出をかけて対戦する。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2007の決勝以来、約1ヶ月ぶりの再戦となる。
 ACL決勝では浦和が1勝1分と勝ち越したが、決して油断はできない。敵地の第1戦はMFポンテの鮮烈な先制弾が飛び出さなければ、試合の行方はわからなかった。ホームの第2戦にしても、浦和は効率的な攻撃で2点を奪ったが、内容では互角だ。「両チームに差はなかったが、2点を獲ったのは浦和だった」。第2戦後にセパハンのルカ・ボナチッチ監督が発したコメントは的を射ている。

 何より、今の浦和はACL決勝でセパハンを破った時のように充実した状態にない。ACL決勝第2戦後の公式戦は3敗1分。まさかのリーグV逸を味わった上、疲労の蓄積が選手たちの体をむしばんでいる。

 遠く離れた日本にやってきて、既に1試合をこなしたセパハンと比べても、コンディション面で有利とは言えない。加えて、ACL決勝で1ゴール1アシストの活躍を見せた大黒柱ポンテの故障欠場が決まった。前線でタメをつくれるポンテを失った影響ははかりしれない。

 今回のゲームでは、リスクの負わない試合運びを求めたいところだ。この4試合、それが欠けている印象がある。J1第33節、直接対決の鹿島戦は相手に退場者が出て、点を獲るべく前がかりになったところで逆に失点を喫した。第34節の横浜FC戦は、序盤に致命的な先制点を許してリズムを崩した。自慢の守備陣だけでなく、全体がいかに守備の意識を高く持つことができるか。堅守から速攻というチームの本来のスタイルを忘れてはいけない。

 セパハンは1ヶ月前より前がかりにくることが予想される。ACL決勝第2戦後にボナシッチ監督は「後半から3トップにしたが、もう少し早く変えていたら違う展開になっていたかもしれない」と悔やんでいた。試合展開にもよるが、機を見れば、前線に人数をかけて点を獲りにくるだろう。

 キープレーヤーとしてはDF闘莉王を挙げたい。格下のJ2愛媛FCに敗れた天皇杯4回戦では、闘莉王が前線に上がり、ディフェンスラインが手薄になったところを突かれている。リードを許した場合以外はできる限り自粛して、ディフェンスに専念してほしい。

 思えば、ACL決勝は守備の勝利だった。オジェック監督も第2戦後に「守備陣もゴールを挙げることと同じくらいよく頑張ってくれた。相手が3トップできても影響はなかった」と話している。浦和が本来の戦い方を取り戻した時に、ミランが待つ準決勝への道は開かれるだろう。

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