AFC(アジアサッカー連盟)チャンピンズリーグ(ACL)決勝が11月5、12日の両日に行われる。対戦するのは準決勝で浦和レッズを下したガンバ大阪と、オーストラリアのアデレード・ユナイテッド。昨年の浦和レッズに続き2年連続でJリーグクラブがアジアの頂点へ上り詰めることができるのか。注目の第1戦はガンバのホーム、万博記念陸上競技場で5日19:00にキックオフされる。
 ガンバは3月から5月に行なわれた予選グループを4勝2分の負けなしで突破した。9月の決勝トーナメント初戦の準々決勝ではアルカラマ(シリア)を2戦合計4−1で退け、準決勝に進出。前回王者浦和レッズとの日本勢対決に臨んだ。

 ホームでの準決勝第1戦を1−1の引き分けで終えたガンバは、アウェーでの第2戦で3−1とレッズを圧倒し、初めての決勝進出を決めた。第2戦は相手に先制を許す苦しい展開ながらも、後半にはフォーメーションを「4−4−2」から「4−2−3−1」と攻撃的な布陣に変更し、積極的な戦いぶりで見事3得点を奪った。西野朗監督の見事なベンチワークと攻めの姿勢を貫いた選手たちの一体感を示した一戦だった。

 対するアデレード・ユナイテッドは準々決勝で鹿島アントラーズを、準決勝ではジーコ元日本代表監督率いるクルブチ(ウズベキスタン)を下し、決勝へ駒を進めてきた。グループリーグから極東に位置する韓国、中国、日本のクラブ相手にアウェー戦3戦負けなしと豪州から遠く離れた地でも結果を残している。

 アデレードの最大の武器はフィジカルの強さ。06年ドイツW杯で日本代表を下したオーストラリア代表のような、日本勢が苦手とするタイプだ。その中でも注意すべき選手として、キャプテンのMFトラヴィス・ドッドの名を挙げたい。

 高身長の選手が揃う前線の攻撃を組み立てる彼は、オーストラリア代表にも名前を連ねている。中盤からパスを通すことにとどまらず、積極的にゴール前へ上がり得点に絡む動きもあり、攻撃にアクセントをつけている。ドッドは177cmとアデレードの中では小柄な選手だが、準決勝第1戦では2点目をアシストするヘディングを見せるなど当たり負けしない。このシーンでは中盤から果敢に前線の選手を追い越す動きで、クルブチDFよりも一歩早くクロスボールに追いついていた。彼のゴール前への飛び出しはガンバにとって要注意となる。

 加えて気をつけなければならないのはサイド攻撃だ。アデレードは身長の高いFWに正確なクロスボールを上げることでACLでも得点を重ねてきている。ガンバにとってセンターを守る山口智と中澤聡太の空中戦が重要なのはもちろん、クロスボールを供給するサイドを押さえる必要がある。両サイドバックの加地亮と安田理大の動きはさらに大きな意味を持つことにはずだ。

 守備だけでなく、この二人には攻撃面でも期待がかかる。アデレードDFの平均身長はなんと188.2cmとまるでバスケットボール選手並み。彼らよりも10cm以上低い177cmの加地と173cmの安田が、俊敏なドリブルとパス回しで足元から相手守備陣をかく乱することができれば、攻撃的布陣で臨むガンバに得点機が訪れるだろう。

 決勝戦を前ガンバにとって追い風も吹き始めている。アデレードは主力FWの一人であるポール・アゴスティーノを始めとしたレギュラー3名が負傷しているのだ。特に独・ブンデスリーガで11年間プレーした経験のあるアゴスティーノの欠場は、アデレードにとって大きな痛手だ。

 また、決勝に対するモチベーションにも両クラブ間で若干の差があるように思われる。アデレードは今年12月に行なわれるFIFAクラブW杯の出場権を既に獲得している(開催国枠でJリーグクラブが出場できるが、ガンバがアジア王者になった場合、アジア2位が開催国枠に回るため)。

 一方、今年のJリーグは史上稀に見る大激戦でどのクラブが年間王者になるか全くわからない状況だ。ガンバとしてはアジア王者の座につくことで、クラブW杯出場権を確実に獲得することができる。このチャンスを逃す手はない。西野監督は「準優勝では全く意味がない」とコメントしている。狙うはアジアの頂点のみ。これまでの戦いと同様、攻撃サッカーを貫くことができれば、世界に挑戦する大舞台が見えてくる。