19日深夜、南アフリカW杯アジア最終予選第3戦がカタール・アルサッドスタジアムで行われ、日本代表はカタール代表に3−0で勝利した。前半18分にFW田中達也のゴールで先制すると、後半にも2得点を奪い快勝した。この勝利で勝ち点を7とし、グループ2位の座を守った。

 守備陣も6試合ぶりの無失点(ドーハ)
カタール代表 0−3 日本代表
【得点】
[日] 田中達也(18分)、玉田圭司(46分)、田中マルクス闘莉王(68分)
 日本は最終予選をここまで1勝1分で勝ち点4、グループ2位につけている。今日の対戦相手はカタール。日本より試合数が1つ多いものの、勝ち点4で並んでいる。敵地での戦いだが、1つでも勝ち点を持って帰らなければ今後の予選で苦戦を強いられることになる。

 これまでの対戦で日本はカタールを相手に勝ち星を挙げたことがなかった。過去の成績は3分2敗。最近では2007年アジア杯で戦い、1−1の引き分けに終わっている。敵地での最後の試合となると1983年まで遡り、その時は0−1で敗れた。日本人にとってカタール・ドーハと言えば、93年にW杯出場を逃した土地として有名だが、今日の試合で使用されたスタジアムは悲劇の舞台となったスタジアムとは別の場所になる。

 日本が抱える問題は、これまで岡田武史監督がチームの中心として起用してきたGK楢崎正剛(名古屋)とDF中澤佑二(横浜)の不在だ。ゴールマウスはベテランの川口能活(磐田)が守ることになり不安も少ないが、中澤の穴をどのように埋めるかがポイントだった。今日の先発は相手の当たりに強く、空中戦に強い寺田周平(川崎F)。田中マルクス闘莉王(浦和)とコンビを組むのは先日のシリア戦に続き2回目だ。ここ5試合、常に得点を許してきた日本代表。キャプテンの欠場がチームにどのような影響を及ぼすか、注目された。

 試合は立ち上がりの数分間、カタールがシンプルな縦パスを通しチャンスを作った。しかし、ここでセンターバックの2人は冷静な判断と落ち着いた動きを見せ、相手に決定機を与えない。試合開始から10分を過ぎた頃には、中盤からのプレスが効きはじめ、徐々に日本がペースを握り始める。

 日本が初めてチャンスを迎えたのは前半18分。右サイドからDF内田篤人(鹿島)がゴール前に縦パスを入れる。そのボールに反応したのはMF長谷部誠(ヴォルフスブルグ)。前線へ上がりカタールDFを引きつける。その動きからゴール前にスペースができたところへFW田中達也(浦和)が走りこみ、こぼれ球を右足でシュート。ボールはGKの股を抜け、カタールゴールに突き刺さり、早い時間帯で先制点を挙げる。ワンチャンスを生かし、試合の流れは一気に日本へ傾いた。

 得点後は中盤でゆっくりとパスをつなぎながら攻撃を組み立てる。そしてFW田中達、玉田圭司(名古屋)にボールが入ると、2人が素早いドリブルを仕掛け、攻めのリズムに変化を加えていった。彼らの動きから幾度かチャンスを作るが、決定機を迎えることはできず、このまま前半を折り返した。

 2点目が入ったのは後半開始直後だった。前線から相手にプレッシャーをかけボールを奪うと、前半の攻めと同様に細かいパスをつないでいく。それと同時に、選手たちも素早い上がりを見せ、波状攻撃をかける。PA付近、ゴール正面でパスを受けた長谷部が左サイドに流したボールを玉田がダイレクトでシュート。左足から放たれた強烈なシュートは豪快にゴールネットを揺らし、カタールを突き放す得点が生まれた。このゴールでスタジアムに詰め掛けた観客の声援は一気に小さくなってしまった。

 一方、これまでの最終予選で課題の多かった守備面だったが、今日の試合では中盤からのプレスがしっかりと機能していた。特に後半は全くと言っていい程相手にチャンスを与えず、中澤不在で心配されたDF陣も今日の動きは安心して見ていることができた。長谷部と遠藤保仁(G大阪)が中盤の底でしっかりとチームバランスを保ったことが安定したプレスを実現させていた。

 日本は後半23分にも、ショートコーナーから闘莉王のヘディングで決定的な追加点を挙げ勝負を決めた。その後も相手の悪質なファールにも集中力を切らすことなく試合を運び、敵地で3−0の完勝を収めた。

 試合後のインタビューで岡田監督は、前回のホームゲームとはうって変わっての快勝に「自分たちのコンセプトであるパス&ムーブ、人もボールも動くサッカーができた」と明るい表情でコメントした。今後の戦いにむけて「まだまだ先が長い。もっと動きの精度を上げてこれからもベストを尽くしたい」と、さらにチームの完成度を増していくことを約束した。

 日本戦に先立って行われた試合でオーストラリアがバーレーンに勝ったため、日本は勝ち点2差のグループ2位につけた。W杯アジア最終予選はこの試合で一旦中断し、2月のホームでのオーストラリア戦から厳しい戦いが再開される。

<日本代表出場メンバー>

GK
川口能活
DF
寺田周平
田中マルクス闘莉王
内田篤人
長友佑都
MF
遠藤保仁
長谷部誠
中村俊輔
大久保嘉人
→岡崎慎司(85分)
FW
玉田圭司
→佐藤寿人(89分)
田中達也
→松井大輔(70分)