プロトライアスリートで、当サイトの「スポーツ“TRY”アングル」でもコラムを好評連載中の白戸太朗氏が、トライアスロンを国内に普及、発展させていくための新会社「株式会社アスロニア」を設立し、記者会見を開いた。代表取締役に就任した白戸氏は「トライアスロンはスイム、バイク、ランと3倍のことをやらないといけないが、日本人で泳いだことのない人も、自転車をこいだことのない人も、ランニングしたことのない人もほとんどいないはず。大変だけど身近なスポーツ。トライアスロンを世の中に広げていきたい」と抱負を述べた。
(写真:「トライアスロンは真面目に練習したら誰でもできる」とその魅力を語る白戸代表)
 北京五輪では女子の井出樹里選手が日本人初となる5位入賞を果たしたトライアスロン。しかし、その裾野は決して広いとは言えない。水泳の愛好者が全国で1570万人(1年に1日以上水泳を行った人数)、マラソン・ジョギングの愛好者が1000万人(1年に1日以上マラソン・ジョギングを行った人数)、バイクが450万人(自転車協会会員数)と言われる中、トライアスロンの競技人口は推定で15万人に過ぎない。特に女性の愛好者はそのうちの1割程度しかいないという。

 一方、海外ではトライアスロンは人気スポーツのひとつになっている。ドイツや北米で実施されるIRONMANシリーズは受付開始1時間でエントリーが定員に達する。北米ではトライアスリートに対する好感度が高く、就職や転職の際に有利になると言われているほどだ。

 スイム、バイク、ランと3種目を1つのレースでこなさなくてはいけないだけに、「大変そう」「すごい人だけがやる競技」とのイメージが日本ではまだまだ強い。また実際に競技を始めるにしても、大会や練習方法、必要なウェアやグッズの情報が乏しいのが実状だ。

 これらの情報を人々が気軽に入手できるようにし、トライアスロンをより生活の中にあるスポーツとして提案したい。それがプロのトライアスリートとして20年間、世界の舞台で戦ってきた白戸代表が、会社設立を決意した理由だ。

 白戸代表を支える役員には各業種で成功を収めている各企業のトップが顔を揃える。共通項は全員がトライアスリートであること。青山フラワーマーケットなどを運営する株式会社パーク・コーポレーション代表でもある井上英明取締役は「自分にとって、トライアスロンは人生の“くさび”。週に1、2回は運動しなくてはと、だらけた自分に歯止めをかけてくれる存在になっている。みなさん、トライアスロンをやりましょう」と呼びかけた。今後はそれぞれの専門分野を生かしつつ、新会社を中心にしてトライアスロンの輪を広げていく予定だ。
(写真:トライアスロンに関する課題をソリューションできる会社にしたいと意気込む経営陣)

 具体的には来年1月からフィットネスクラブと共同でトライアスロンスクールがスタートする。また競技に関する情報を共有できる場として、ショップやカフェも兼ねた“トライアスロン・ステーション”の1号店が都内に来春オープンする計画になっている。また2009年のホノルルトライアスロンの運営、PRやオリジナルブランドの商品開発も実施する。ゆくゆくはステーションを全国に拡大し、子どもたちへの普及活動や、トライアスロンを自由に楽しめる環境(トライアスロン・パーク)づくりも行いたい考えだ。

 社名のアスロニアとはアスリートの集まる場を意味する。まさにトライアスリートによるトライアスリートのためのプロジェクト。白戸代表によると、トライアスロンに関して、ここまで多方面からアプローチするビジネス展開は世界初の試みだという。
>>株式会社アスロニア、ホームページ