6日、Jリーグ第34節が行われ、鹿島アントラーズがコンサドーレ札幌に1−0で勝ち、2年連続6回目のリーグ優勝を決めた。2位川崎フロンターレ、3位名古屋グランパスとなり、鹿島も含め来年のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を獲得した。また、東京ヴェルディが川崎フロンターレに敗れ17位に転落、18位札幌とともに来期のJ2降格が決まった。16位のジュビロ磐田は入れ替え戦に出場、J2で3位となったベガルタ仙台とJ1残留をかけ対戦する。
 試合前、前節の劇的なゴールで貴重な勝利を収めた鹿島が、2位の名古屋に勝ち点差2をつけていた。引き分けでも実質的に優勝が決まるだけに、断然有利な立場で最終節を迎えた。

 札幌との試合は、試合立ち上がりからJ1最後のホームゲームで意地をみせたい札幌が積極的な戦いを見せた。前線からプレッシャーをかけ、鹿島になかなかチャンスを作らせない。10分過ぎまで鹿島はシュートを1本も放つことができなかった。しかし、序盤の札幌の攻めをじっくりと鹿島守備陣がしっかりと守り抜き、段々と試合の流れを掴んでいく。少しずつ札幌陣内でボールを回す時間が増え、シュートチャンスも生れてきた。

 鹿島に先制点が入ったのは前半34分。左サイドでボールを持ったMF野沢拓也がドリブルでボール正面へ入り、PAの少し外から右足でミドルシュートを放つ。ボールはゴール左隅に突き刺さり、欲しかった1点目を奪い取る。この時点で鹿島が優勝へ向け大きく前進した。

 失点を許した札幌だが、その後も攻めの姿勢を貫いていった。J2降格が決まっているものの、大観衆が詰め掛ける札幌ドームでサポーターの声援に応えたいという気迫が全面に出ていた。得点ランキング2位につけるFWダヴィを中心に鹿島ゴールに詰め寄るが、相手DFラインを崩す場面はなかなか生まれずゴールを奪うことはできない。

 一方先制点を手にした鹿島はじっくりとボールを回し、落ち着いた試合運びをみせる。引き分けでも優勝が決まるだけに、1点目は鹿島に大きな安心感を与えたように感じられた。試合はこのまま1−0で前半を折り返した。他会場の名古屋、川崎はともに0−0で前半を終了しており、45分を残して鹿島優勝の可能性は極めて大きくなっていた。

 後半が始まっても鹿島は中盤からやや後ろでゆっくりとパスを回し時間を使う。札幌もパスをカットするべく前線からプレッシャーをかけるが、札幌が前へ押し上げると同時にFWマルキーニョスへ縦パス一本で放り込む。ボールを預け、一気に攻めのテンポを上げて少ない人数で札幌ゴールに襲いかかる。勝ち点を取りこぼさないために、そつのない試合運びでうまく時間を使っていった。

 札幌も前線の選手を増やしたが反撃できずこのまま試合は1−0で終了。鹿島が首位の貫禄をみせ勝ち点3を上積みし、2年連続6回目のリーグ制覇を成し遂げた。昨年、終盤に9連勝を収めた逆転優勝とは違い、今年はシーズン通して上位争いを続けた。しかし、チームの精神的支柱たるMF小笠原満男の負傷やACLの敗退など決して順調な道のりではなかった。

 最終ラインでクラブを支えたDF岩政大樹は「連覇は非常に達成感がある。1位にいるプレッシャーで眠れない日もあったけれど、みんなで1年間やってきた結果が出て報われた。色々なことがあって昨年よりも苦しかったし、1年が長かった」と優勝の喜びを噛みしめると同時に、苦しいシーズンだったと胸のうちを明かした。「様々なことがあったシーズンだったけど、最終的に一番の目標である連覇が達成できてよかった。来年は3連覇とアジア制覇を狙います」と09年にむけて大きな2つの目標を口にした。

 一方の降格争いは、17位千葉がホームにFC東京を迎えて最後の望みをつなぐため試合に臨んだが、前半39分にFWカボレ、後半8分に長友佑都と相手に2得点を奪われ苦しい展開となった。試合に勝つしか残留への道は開かない千葉はここから3点を奪わなければならなかったが、気持ちと攻撃がかみ合わずもどかしい時間が続いた。FC東京も上位争いを展開する相手だけに簡単にはボールを奪うことができない。やっとのことで、後半28分にFW新居辰基が追撃弾を叩き込み、追い上げムードとなったがまだまだ残留はみえてこない状況だった。

 しかしここから千葉の勢いはさらに加速していった。31分には谷澤達也が同点ゴールを上げ、さらに35分にはPKを獲得、これをレイナウドが落ち着いて決め逆転。なんと10分間で2点差をひっくり返してしまった。85分には谷澤がさらに追加点を決め4−2の逆転勝利、土壇場で一気に15位にまで順位を上げJ1残留をものにした。

 千葉が土俵際で踏ん張った一方、16位の東京ヴェルディは前半27分、既に解雇通告を受けているMF福西崇史がPA内で相手を倒してしまい、一発退場。人数が少ない中、積極果敢に攻めたものの、後半に2点を失って万事休す。17位に転落してJ2への自動降格が決まった。

 わずか1年での降格に柱谷哲二監督は「スミマセンとしか言えません。申し訳ない気持ちでいっぱい」と涙ながらにサポーターに謝罪。「ヴェルディはなくなりません。必ず復活させます」と再起を誓った。またキャプテンの服部年浩も「みんなのエネルギーがあれば、ヴェルディは大丈夫です」と気丈に語ったが、自身の戦力外が決まっており、「これから力になれない選手もいますが」と無念さをにじませていた。

 ゴール裏のサポーターは「選手はモノじゃない」「日テレさん、どこまで本気ですか」との横断幕を掲げ、元日本代表勢を大量解雇したフロント陣に不満を爆発。試合後、挨拶に立った萩原敏雄社長の「来年も一緒に戦ってください」との呼びかけも、強烈なブーイングにかき消された。