10日、ユアテックスタジアム仙台でJ1・J2入れ替え戦が行われ、前半41分にナジソンのゴールで仙台が先制したが、後半8分、磐田の松浦拓弥が同点弾を叩き込み1−1の引き分けに終わった。注目の第2戦は13日(土)、ヤマハスタジアムで16:00にキックオフされる。

ベガルタ仙台 1−1 ジュビロ磐田
【得点】
[仙台]ナジソン(41分)
[磐田] 松浦拓弥(53分)
 毎年様々なドラマが繰り広げられる入れ替え戦。来季からはJ1下位3クラブとJ2上位3クラブが自動入れ替えとなるため、今年で最後の開催となる。

 今シーズンの入れ替え戦はJ1・16位の磐田とJ2・3位の仙台との対戦になった。2005年から始まった入れ替え戦では、J2クラブが1勝3敗と勝ち越している。特に05年からは3年連続でJ2勢が勝利している。これは仙台にとって頼もしいデータだ。さらにこの日のユアテックスタジアムは2万人近いサポーターで埋め尽くされ、J1への復帰を目指す選手たちを大きく後押していた。

 一方の磐田もここでJ2落ちをするわけにはいかない。言うまでもなく90年代後半から2000年代前半、常勝軍団としてJ1に君臨した名門クラブだ。97、99、02年とJリーグで優勝、99年にはアジアクラブ選手権(現・アジアチャンピオンズリーグ)を制しアジア王者の座にも就いている。

 今シーズンは開幕当初から低迷し、前監督の内山篤氏が成績不振を理由に第23節終了後に解任。94年から3年間ジュビロを率いたハンス・オフト氏が12年ぶりに復帰した。しかしオフト監督就任後も3勝6敗2分と上昇気流に乗ることはできず、16位でシーズンを終え入れ替え戦に回った。

 今日の試合は立ち上がりから大観衆に背中を押されたベガルタ、意地を見せたいジュビロが互いに譲らず互角の戦いとなった。両クラブとも決定機を迎えるが、得点を挙げることはできず時計の針が過ぎていく。

 試合が進むにつれ、主導権を握り始めたのはジュビロだった。右サイドからMF駒野友一が仙台陣深くに進入する場面が増えていく。駒野からクロスボールを何本か上げるが、ゴール前のFW陣がボールに合わせることができない。J1でも残り2試合で無得点としばらくゴールから見放されている磐田。この試合でも下位に沈んだ原因が見てとれるようだった。

 そんな中、押され気味の仙台がスキを突いたのは41分。カウンターから攻撃を組み立てPA少し外、正面からMF梁勇基が右サイドへスルーパス。そこへ走りこんだのはFWナジソン。角度のない位置から右足を鋭く振りぬくと、GK川口能活の頭上を威力あるシュートが通り抜け、ゴールネットを豪快に揺らした。地元の先制点で黄色に染まったスタジアムのボルテージが一気に上がる。仙台がこのままリードを保ち、前半を1−0で折り返した。

 後半が始まっても磐田の右サイドを駒野が度々駆け上がり、再三クロスボールを上げる。駒野の勢いにつられるように、磐田の攻撃に段々とリズムが出来ていく。前半とは異なり、FW陣との呼吸も徐々に合っていくように思えた。

 そして後半8分。駒野が上げたクロスをFW前田遼一がポストプレーで落とし、FWジウシーニョがつないでMF松浦拓弥が左足でミドルシュートを放つ。シュートは仙台ゴールに突き刺さり、1−1の同点に追いつく。得点上では両クラブが並んだが、貴重なアウェーゴールを手にした磐田が残留に向け仙台の前に出た。

 同点ゴール後は、ボールを繋いでゆったり攻める磐田とカウンター主体で攻める仙台というゲーム展開になった。今季は得点が入らず下位に沈んだ磐田だが、得失点差だけをみればJ1でも中位に入る(18クラブ中12位)。同点に追いついた後は落ち着きを取り戻し、冷静に試合を運んだ。こうなると磐田のほうが一枚上手だ。ベガルタ相手に余裕のある試合運びをみせ、1−1のまま試合は終了した。

 磐田がアウェーゴールを上げたため、第2戦がスコアレスドローでも磐田のJ1残留が決まる。仙台はゴールを奪わない限りJ1への道は開かれない状況で、ヤマハスタジアムではリスクを負ってでも前に出る勇気が必要になった。いずれにせよ、第2戦の先制点がどちらに入るかが勝者と敗者を分ける分岐点になりそうだ。