今年、六大学野球リーグのなかで最も飛躍的な成長を遂げたのが明治大学の岩田慎司投手だろう。3年まで挙げた白星はリリーフでの1勝のみ。だが、今年の春季リーグでは13試合に登板、リーグ最多の4勝(1敗)を挙げて同大8季ぶりとなるリーグ優勝の立役者となった。大学球界を代表する投手へと上り詰め、中日に5巡目指名を受けた岩田投手。プロへの道を切り拓いた要因はどこにあったのか。
―― ドラフト会議はどんな気持ちで観ていましたか?

岩田: 正直、指名されるという自信はそれほどありませんでしたが、プロでやりたいという気持ちはずっとあったので、なんとかかかってくれればいいなぁとは思っていました。名前を呼ばれた時は、やっぱり嬉しかったですね。

―― 中日というと、同じ岐阜出身で東邦高校先輩の朝倉健太投手やFA宣言しましたが、明治大学先輩の川上憲伸投手などがいますが。

岩田: 地元球団ですから昔から一番好きな球団でしたし、指名されてよかったです。中日にはいいピッチャーがたくさんいるので、競争は激しそうですね。でも、結構若手も出てきているので、頑張りたいと思います。

―― 目標は?

岩田: 特に決めていません。ただすぐにでも一軍には上がりたいという気持ちはあります。

―― 今後の課題は?

岩田: 今年は初めて日本代表に選ばれて、7月の世界大学選手権では2試合に登板して結果を出すことができた(初戦の台湾戦では1失点完投、決勝の米国戦では10回1/3を無失点)。自分の変化球が外国人打者にも通用したことが大きな自信になりました。その半面、巽真悟(近畿大)など日本を代表とするピッチャーを見て、自分とはストレートの威力が全く違うことも実感したんです。改めて自分の課題はストレートのスピードだと感じました。

―― プロへの道を切り拓いたターニングポイントとなったのは?

岩田: 新チームになって副キャプテンになったことです。それまでは練習もただ先輩についてやっていたという感じでしたが、副キャプテンとなったことで「自分で引っ張っていかなければいけない」という気持ちになり、自ら練習するようになりました。

―― そのことで技術的な変化は?

岩田: 練習を多くしたことで体もできて、一番の課題だったコントロールがよくなりました。それが成績につながったし、プロ入りの要因にもなったのだと思います。

 阪口慶三監督の指導が礎に

 岐阜出身の岩田投手だが、阪口慶三監督(現・大垣日大高)に熱望され、愛知の東邦高校へ入学。3年間の厳しい指導のもと、技術的にも精神的にも強くなった。現在の岩田投手の礎が高校時代に築かれたといっても過言ではない。

―― 今回、阪口監督からはどんな言葉をもらいましたか?

岩田: 「おめでとう」と言ってもらいました。あとは「とにかくケガに気をつけるように」と。ケガしたら終わってしまいますから。

―― 昔は“鬼の阪口”と言われていましたが。

岩田: 練習も厳しかったですし、怖かったですね。今では“仏の阪口”と言われていますが、会うとやっぱり緊張します。仮契約をした日に挨拶に行きましたが、緊張感は高校時代と一緒でした(笑)。

―― 一番印象に残っていることは?

岩田: 練習試合では四球を出すたびに怒られました。試合後には「相手チームに『変な試合をして申しわけありませんでした』と謝ってこい」って言われたこともありましたよ。まぁ、行ったことはなかったですけどね(笑)。四球を出したとたんに、いきなりベンチから出てきて、「野手に謝れ!」とその場で正座させられたことも……。とにかくムダな四球に対しては非常に厳しかった。でも今、こうしてコントロールがよくなったのはそうした指導のおかげだと感じています。

 1年前の今頃、岩田投手は思うような結果が出ず、大学卒業後は野球を諦めて一般企業に就職することも考えたという。必死の努力で逆転劇を演じた岩田投手は、どんな選手を目指しているのか。
 
―― 理想とするピッチャーは?

岩田: 最初は多分中継ぎで使われると思いますが、ピンチでまわってきてもしっかりと抑えて、信頼されるピッチャーになりたいですね。

―― 調子が悪いときこそ大事にしていることは?

岩田: 今までは悪かったらフォームのせいにしたりしていたんですけど、悪いときこそ練習するようにしています。体が疲れていても逆にハードに練習したほうがいい時もありますから。プロに行っても何かのせいにするのではなく、調子が悪いときこそ練習するように心がけたいですね。

―― ファンにはどんな姿を見てもらいたい?

岩田: ファンとしてはスピードで勝負するというのが一番見ていて楽しいと思うんです。でも、自分はストレートはそれほど速くない。だから「「岩田が出れば打たれない」というふうにファンが安心して見ていられるようなピッチャーになりたいです。

岩田慎司(いわた・しんじ)プロフィール>
1987年1月27日、岐阜県出身。阪口慶三監督の強い希望で愛知・東邦高校に野球留学し、3年時にはエースとしてセンバツに出場した。今春はリーグ最多の4勝を挙げ、8季ぶりのリーグ制覇に貢献。日本代表にも初選出され、世界大学選手権では2試合に先発した。最大の武器はスライダー。右投左打。181センチ、80キロ。

(聞き手・斎藤寿子)

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