13日、「クラブワールドカップ2008」準々決勝が東京・国立競技場で行なわれ、北中米カリブ海代表のパチューカ(メキシコ)がアフリカ代表のアルアハリ(エジプト)を延長戦の末4−2で下し、準決勝に進出した。試合は前半28分にアルアハリが先制し、前半終了間際、追加点を挙げる。一方のパチューカは後半立ち上がりにセットプレーから1点を返し、28分に直接フリーキックを決め同点。そして延長前半7分にダミアン・アルバレスのゴールで勝ち越し、延長後半にもダメ押し点を奪って逆転勝ちを収めた。パチューカは17日に行われる準決勝(国立競技場)で南米代表のリガ・デ・キト(エクアドル)と戦う。

◇12月13日、国立
アルアハリ 2−4 パチューカ
【得点】
[ア] オウンゴール(28分)、フラビオ(44分)
[パ] ルイス・モンテス(47分)、クリスティアン・ヒメネス(73分、延長21分)、ダミアン・アルバレス(延長7分)
 立ち上がりからペースを握ったのはパチューカだった。細かいパスをつなぎ、アルアハリ陣内に度々進入していく。特に中盤のハイメ・コレア、ダミアン・アルバレスの両選手がポジションチェンジを繰り返し、相手の守備の隙を狙っていた。しかし、アルアハリ守備陣はキャプテンのシャディ・モハメドを中心に堅い守備でパチューカにボールを回させるもののシュートチャンスは与えない。23分にワンツーからブルーノ・マリオニがGKと1対1となったがシュートはキーパー正面をつき、ゴールを奪えない。ボールを持ち続けながらもパチューカの決定機は前半この1回のみだった。

 対するアルアハリはしっかりと守備陣がゴール前を固め、前線に縦パスを出すシンプルなサッカーに徹する。目立ったのは前線からの守備だ。ツートップのモハメド・アブターリカとフラビオが執拗にパチューカの最終ラインに対しプレッシャーをかけ続けていた。前半の2得点は積極的な守備からの得点、センターライン付近からの縦パスにうまく反応してのゴールだった。

 前半、圧倒的に攻めたパチューカは後半2分に追撃弾を叩き込む。後半からピッチに入ったMFルイス・モンテスが左サイドからのフリーキックでゴール前にボールを入れる。ゴール前の競り合いではどちらの選手もボールに触れることができなかったが、そのボールがアルアハリゴールの左隅に直接吸い込まれた。試合後にアルアハリのマヌエル・ジョゼ監督が「絶対に許されない失点」と語ったゴールでパチューカが俄然勢いづいた。

 この試合のボール支配率はパチューカが62%とアフリカ王者を圧倒した。後半はアルアハリに全くといっていいほど攻撃の形を作らせず、主導権を握り続けた。

 そして、28分に待望の同点ゴールが生まれる。ゴール正面でFWクリスティアン・ヒメネスが倒されフリーキックを獲得。倒されたヒメネス自らがフリーキックを右足で蹴り、美しい軌跡を描いたシュートは直接ゴールへ吸い込まれた。

 残り時間でパチューカはアルアハリゴールに迫ったが、勝ち越すことはできず2−2のまま試合は15分ハーフの延長戦に突入した。延長に入っても流れは変わらず、パチューカがペースを握り続けた。

 そして、延長7分。先制点を決めたルイス・モンテスがドリブルで仕掛け、ダミアン・アルバレスにパスを出す。ゴール正面を向き、ゴール前のパウル・アギラルとワンツー。アギラルが落としたボールを右足で振りぬき、ついに逆転ゴールを上げる。パチューカベンチからは選手、スタッフ全員が飛び出し喜びを爆発させた。延長後半6分には、同点となるフリーキックを叩きこんだヒメネスがダメ押し点を挙げ、4−2で勝利。昨年は初戦で敗れたが、2回目の出場にして大会初勝利をあげた。

 試合後、エンリケ・メサ監督は「前半は苦しくアンフェアな戦いだった。こちらのほうがいいサッカーをしていたのに、0−2で負けていたのだから。しかし、後半は前半のサッカーを継続しつつ、さらに工夫を加えて攻撃しつづけることができた。1点目がいい時間帯に入ったことが大きかった。今日はパチューカがいいサッカーをした。だから勝つことができたのだ」とコメントした。

 パチューカの次の相手は南米代表のリガ・デ・キト(エクアドル)。今日の勢いをそのまま持ち込むことができれば、決勝の舞台が見えてくるだろう。注目の準決勝は17日、19:30に国立競技場でキックオフされる。


<今後のスケジュール>

【準々決勝】
◇12月14日(日)
・アジア代表ガンバ大阪(日本) × 開催国枠アデレード(オーストラリア)

【準決勝】
◇12月17日(水)
・北中米カリブ海代表パチューカ(メキシコ) × 南米代表リガ・デ・キト(エクアドル)